2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25610150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 美紀 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (40470033)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 平面歪試験機 / 岩塩 / マイロナイト組織 / 歪集中 / 歪軟化 / 国際研究者交流 / オランダ、フランス |
Research Abstract |
本研究では大地震へと発展するシステムの不安定挙動への準備は,まずシステムの中での剪断面の選択と集中から始まると仮定し、歪軟化準備過程において観測可能な現象を,板状の岩塩を模擬岩体とし平面歪試験の結果から提言することを目的としている。平成25年度の実施内容は大きく2点あり、1点目は試料である岩塩の変形特性をあらかじめ調べておくことであり、2点目は平面歪試験機の製作である。 岩塩試料の変形特性:オランダ・ユトレヒト大学にて回転式剪断試験機を用い岩塩の変形速度に対する強度・摩擦特性・変形組織について調べた。また、当大学にて実験後の岩塩試料の観察に際し、適切な薄片試料の作り方も学ぶことができた。今回、岩塩と白雲母を8:2で混在させた試料に低速度で30の剪断歪を与えた後、比較的高速度での変形条件に急変させる実験を実施した。低速度条件では岩塩は流動変形を示し、マイロナイト組織を作ることが分かっている。一方高速条件下では変形に伴い孔隙の多いランダムな組織をとることが分かっている。しかしながら、天然のマイロナイト組織の観察から、シュードタキライトのように高速変形はマイロナイトの面構造を使って変形が集中した結果と考えられる。この考えのもと本実験後の組織観察を行った。結果、低速度環境で発達したマイロナイト組織は破壊されず、試料部内の駆動部との境界付近に剪断の集中が見られた。また、摩擦挙動も流動から摩擦へのメカニズムのスイッチを示唆する挙動を示した。 平面歪試験装置の製作:岩塩の板状試料の変形と変形場のその場観察のため平面歪試験機を作製した。空気圧を使ってピストンを駆動し、ゆっくりと変形を加え、最終的な破断に至る前の歪の集中過程をカメラで記録することを想定している。また、年度末には平面歪試験と変形場のその場観察に詳しい、フランス・グルノーブル大学Cino Viggani教授と意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施予定では回転式剪断試験機を用いた岩塩の変形条件に応じた力学的性質ならびに変形組織をあらかじめ調べておくことと、平面歪試験機の製作と試運転の実施であった。 回転式剪断試験機を用いた岩塩の性質については期待以上の成果を上げることができた。地震は一瞬にして断層面に高速で大変位をもたらすが、前回の地震から次の地震の間の準備期間において卓越する変形機構は安定な流動変形である。流動変形のもと発達したマイロナイト組織に高速の地震による変形が発生し伝播するとき、多くの剪断実験結果にあるように高速破壊が一様に剪断帯内に及ぶのではなく、マイロナイトの面構造のうちある部分を選んで剪断を集中させていることが実験的にも証明された。また、地下深部でまた実験後の岩塩試料から組織観察用の薄片を作成するノウハウもユトレヒト大学C.Spiers教授率いる高温高圧ラボより学ぶことができた。 一方で平面歪試験機の製作について、当初は秋の完成を目指したが、板状岩塩の強度に関する既存データがなく、フレーム強度等の仕様決定に時間を要した。一方平面歪試験とその場観察について詳しいグルノーブル大学のC.Viggani教授と意見交換を行い、平面の圧力計の設置ポイントや画像解析の上での注意点についてアドバイスを受けることができた。 上記より平成25年度の達成度はおおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は製作した平面歪試験機を用いて岩塩の変形実験を実施する。C.Viggani教授との意見交換を反映させ、試験機には軽微な改良を加える。本試験機での実験は軸荷重制御を行うので、対応する定常状態の変形速度がどの程度か、傾向を調べることから始める。流動変形が卓越する環境をなるべく再現するため、できる限り低速の変形速度での実験を目指す。また、変形のその場観察のためカメラで変形を撮影し、コマごとの映像の差分から変形場を可視化をおこない、変形集中過程とバルク強度の変遷との関係を明らかにする
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究においいて製作する平面歪試験機の仕様を決めるのに時間を要し、その付属品である圧力計と変位計の仕様を決めることができなかった。本体の完成を待って圧力計並びに変位計の仕様を決定する必要が生じたため次年度使用額が生じた。本体は年度末に納品され仕様の検討ができるようになった。 次年度配布分と合わせ、レーザー変位計2台と圧力計3台の購入に使用する。
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Research Products
(9 results)