2014 Fiscal Year Annual Research Report
微生物岩に認められるラミナの形成‐ミクロな構造中のマクロな情報‐
Project/Area Number |
25610151
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
江崎 洋一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60221115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70347483)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物岩 / ストロマトライト / 地球生物学 / シアノバクテリア / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 中国江蘇省寧県に分布する九頂山層(エディアカラ系)の珪質ストロマトライト中にシアノバクテリア(フィラメント状と球状)が認められる.それらバクテリアの分布様式とラミナ形態との関連から,気泡(おそらく酸素)の痕跡と考えられる構造が識別できる.この現象を通じて,ストロマトライトを特徴づける「ラミナ」の形成要因の一端を解明した. 2. 先カンブリア時代に特徴的な円錐形ストロマトライト(Conophyton)に注目し,その形態学的な意義を受光量の観点から実験的に考察した.円錐形は,形成当時の強光や紫外線に対する一種の防御形態と考えられる. 3. 太古累代から形成されるストロマトライトの形成要因は,現世ストロマトライトの形成要因と必ずしも同じではない.各地質年代の「ストロマトライトの形成要因」の比較・検討から,ラミナ組織の形成要因は,形成年代や形成環境ごとの「化学的な条件(酸化・還元状態など)」や「電磁波の条件(紫外線や赤外線量を含む)」によって異なっている.シアノバクテリアで代表される光合成バクテリアのみならず,化学合成バクテリアなども関与し,主として炭酸塩鉱物の沈殿作用や溶解(ミクライト化)作用を通じてラミナが形成されている. 4. とりわけ先カンブリア時代のストロマトライトの形成には,バクテリアによる「硫酸イオンの還元作用」や「硫化水素の酸化作用」に基づく「硫黄の物質循環」を考慮する必要がある.
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