Outline of Annual Research Achievements |
花崗岩またはジェーダイトメルトと水流体の間のPb、Rb、Srの分配係数を高温高圧蛍光X線その場観察により求めた。実験はフランスのソレイユ放射光実験設備で行った。その結果、これらの元素の水流体/メルトの分配係数は圧力または塩濃度とともに増大し、特にPb、Srは塩水には分配されるが、塩素がない系では水流体にほとんど分配されないことを確認した。筆者たちは、スラブからマントルウェッジに超臨界流体が付加し、上昇途中でマグマと水流体に分離し、それぞれにマグマを発生させる仮説を提案している(Kawamoto et al. 2012 PNAS)。この時、スラブ起源の超臨界流体には塩素が含まれていて、水流体に塩素のほとんどと(Borchert et al. 2010 GCA)、アルカリ元素とPbの多く、アルカリ土類元素などの一部が分配されると考える。こう考えると、これまで指摘されていた島弧マグマの微量成分元素の多様性に必要な2種類のスラブ成分(Elliott et al. 1997 JGR)をうまく説明することができる。この成果は、下記の論文として公表した。
Kawamoto, T., Mibe, K., Bureau, H., Reguer, S., Mocuta, C., Kubsky, S., Thiaudiere, D., Ono, S., Kogiso, T., Large ion lithophile elements delivered by saline fluids to the sub-arc mantle, Earth, Planets and Space, 66, 61 (2014).
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