2014 Fiscal Year Research-status Report
超高温域での絶対温度決定と輻射温度計校正精度向上への挑戦
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25610159
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉朝 朗 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00191536)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超高温域温度測定 / 高融点物質 / ガス浮上法 / 放射光X線回折実験 / 熱膨張特性 / 融点・相転移点 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高温域での物質の温度の精密測定と絶対温度決定に向けた実験法の高精度化を行った。本年度は高融点物質のHhO2の精密測定に成功した。輻射温度計による温度測定精度の向上と試料内での温度分布・温度勾配測定も試みた。熱電対の利用可能域と輻射温度計の分解能をうまく使うことで装置を最大限高精度化し、3000K以上の温度域で±10K程度の精度で温度を決定することに挑戦した。超高温域の構造研究用に開発された雰囲気コントロール可能な、レーザー加熱・ガス浮上法角度分散型超高温X線回折装置と透過力の高いX線を組み合すことで、超高温域4000K以上での精密X線回折実験を目標にした。雰囲気コントロール下、不純物混入のない実験を行い、高精度の回折実験を行った。格子定数(熱膨張率)、軸比、相転移点等を高精度で決定した。本手法は真球の試料を既知の雰囲気下で不純物の混入が無く、雰囲気制御や融解後の融体まで回折データが得られ、融点や相転移の決定が高精度で行えた。今回IP検出器による2次元データ観測装置を設置し、結晶粒成長の効果を校正する装置を開発した。この装置により高融点鉱物zirconの超高温実験、融体共存相等の精密測定に成功した。Planck の関係を用いた輻射温度計等の温度測定とX線その場観察実験を同時に行った。白金による温度校正法を確立し、将来の展開を目指している。高融点化合物の高温下で実験を行う基盤を整えることができた。超高温下での構造解析・評価法の手法開発としての絶対温度決定法確立に向けた新しい挑戦を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は高融点物質のHfO2の精密測定に初めて成功した。今回IP検出器による2次元データ観測装置を設置し、結晶粒成長の効果を校正する装置を開発した。この装置により高融点鉱物zirconの超高温実験、融体共存相等の精密測定に成功した。Zirconは太古代研究に不可欠な最古の地球物質の一つである。高精度の二次元検出器付きX線回折装置を備えた高温レーザー加熱ガス浮上法により融体・結晶の回折実験を立ち上げた。試料保持フォルダーやキャピラリー材料の制限により、実験が困難になること避け、数mm の新球の試料を空気・磁場浮上することで、不純物の混入無く雰囲気も変えられる超高温下での高精度の回折実験を立ち上げた。レーザーも用いた加熱と輻射温度計の測定システム、X線その場観察実験、同時解析が行える。試料の表面付近と中心部では温度勾配が生じ、その詳細を明らかにした。格子定数を多くの温度域で測定し、決定した格子定数、軸率の温度変化、熱膨張特性を決定し、精度の高い低温域の結果や分子軌道法シミュレーションによる理論との値との比較・外挿することから、絶対値の決定を試みた。Rietveldt 法による構造解析を超高温域で行い、転移メカニズムを原子レベルで明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに高融点物質の対象物を広げて、研究を発展・展開してゆく。新たな挑戦として、さらに装置の高度化と手法の公表と広いユーザー確保に努力して、若手研究者・次世代の育成にも貢献したい。試料特性として温度分布・勾配、精密温度決定法への物質依存性、表面ラフネス等影響等をさらに詳細に調べる。高融点化合物を用いた温度校正法を提案し、広い分野に展開を目指し、可能性を追求する。
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Research Products
(9 results)