2013 Fiscal Year Research-status Report
低温高密度非接触再結合プラズマを用いたWarm Dense Matter研究
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25610170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 哲靖 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60203890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非接触再結合プラズマ / Warm Dense Mater / 電気伝導度 / イオン音波 / 自由電子モデル |
Research Abstract |
プラズマデタッチメント現象は,プラズマ-ガス相互作用に伴う放射および荷電交換過程でプラズマを冷却し,プラズマを低温高密度状態し,最終的には電子-イオン再結合過程(放射+3体再結合過程)により プラズマを気相中で消失させるというものであり,磁場閉じ込め核融合発電炉におけるプラズマ対向壁への熱負荷低減の切り札と考えられている。この時生成されるプラズマを非接触再結合プラズマという。低温高密度非接触再結合プラズマは,電子-イオン再結合にともなう多数の高リュドベルグ原子を含む低温高密度プラズマである。高リュドベルグ状態にある原子は極めて巨大(原子半径は主量子数の2乗に比例する)であり, また,高密度低電子温度であるため電子間衝突が極めて頻繁におこり,高リュドベルグ状態の束縛電子とプラズマ内の自由電子は頻繁に入れ替わっている状況であると考えられる。 本研究の目的は,単純トーラス配位高密度プラズマ発生装置を用いて,多くの高リュドベルグ原子を含む低温度高密度非接触再結合プラズマを定常的に発生させ,非接触再結合プラズマ中の直流電気伝導度ならびに音波伝搬特性の詳細計測をおこなうことにより,非接触再結合プラズマの Warm Dense Matter(WDM)としての特性を明らかにすることである。 平成25年度は傍熱型 LaB6 陰極を製作し,単純トーラス型プラズマ発生装置の直流放電システムを改良することにより,低温高密度重水素プラズマの生成をおこなった。可視分光器を用いて,非接触プラズマからの電子・イオン再結合に伴うバルマー系列の発光を観測し,ボルツマンプロット法もしくは連続スペクトル解析より,電子密度,電子温度の評価を行った。電子温度は 0.1eV 以下,電子密度 10^19m-3 以上の大容量の低温高密度再結合重水素プラズマ生成が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放電システムの改良により,本実験の基盤となる大容量の低温高密度プラズマの生成を実現したため。
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Strategy for Future Research Activity |
非接触再結合プラズマ中におけるイオン音波伝搬実験 メッシュ状の電極を挿入し高周波電圧を印加することにより,非接触再結合プラズマ中にイオン音波を励起する。励起されたイオン音波を2次元駆動プローブにより受信し,プローブを掃引することにより印加高周波電圧と受信信号との干渉波形を計測し,印加高周波周波数に 対するイオン音波の波長を求める。周波数を変え同様の実験を繰り返すことにより,イオン音波の分散関係を得る。さらに電子温度を変化させイオン音波の分散関係を計測し,理論値との違いならびに,Warm Dense Matterとしての特性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の非接触プラズマ生成実験は主に軽水素ガスならびにヘリウムガスを用いて行ったため,当該年度に購入予定であった重水素ボンベの購入を見送った。また,陰極材料についても既存の陰極材料を用いて予備実験を実施し,LaB6 陰極材料の購入の行わなかったため。 消耗品であるLaB6 陰極材料の新規購入を行う。さらに,低温高密度の非接触プラズマ生成のために,重水素ガスの購入を行う予定である。
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