2013 Fiscal Year Research-status Report
レーザー航跡場とビーム航跡場のハイブリッド多段加速による超高エネルギー電子加速
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25610172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三浦 永祐 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 上級主任研究員 (10358070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高性能レーザー / プラズマ / 量子ビーム / レーザー航跡場加速 / ビーム航跡場加速 |
Research Abstract |
プラズマを利用した電子加速であるレーザー航跡場加速やビーム航跡場加速は、プラズマ波の作り出す高周波加速器の1000倍にも達する高い加速電場を利用し、超高エネルギー電子加速を実現する技術として期待されている。本研究では、より小さな装置規模で超高エネルギー電子加速を実現するため、各々の方式の持つ利点を融合し、レーザー航跡場加速で得られる電子バンチをビーム航跡場加速で加速するハイブリッド型のプラズマを利用した電子加速の新概念を提案し、その原理実証を行うことを目的としている。 本手法の実証には、レーザー航跡場加速によってエネルギーの揃った準単色電子バンチを発生し、電子密度の高い電子バンチを得る必要がある。安定して準単色電子バンチを得るには、プラズマ中に急峻な密度勾配を形成し、そこでのプラズマ波の破砕による電子入射を利用する手法が有望である。レーザー航跡場加速を行うプラズマを生成するガスジェット中にナイフエッジを挿入し、そこで発生する衝撃波を利用した急峻な密度勾配を作り出すことを試みた。シャドーグラフ像、シュリーレン像により、ガスジェット中に密度勾配が形成されていることを観測した。 ビーム航跡場加速を行うブースター加速段のプラズマを予備的に生成するためのレーザー照射系、多段加速を行うための2ビームの照射系の設計を行い、多段加速実験に向けた準備を進めた。また、超高電子エネルギーの高精度計測手法を検討した。エネルギー分解のため磁場で曲げられた電子の軌道上に複数の検出器を設置する手法を考案し、その装置設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度初めまで、レーザー装置等を設置している実験室において、天井の石綿含有吹き付け材除去とそれに関わる付帯工事が実施されていた。年度の前半にレーザー装置の立ち上げを実施したが、その際に工事の影響によると思われる故障が見つかった。保守部品の手配に非常に長い時間を要し、レーザーの修理が完了したのは、年度末に近い時期であった。そのため、予定していた実験のほとんどが実施できなかった。実験の準備を着実に進め、予備的ではあるがレーザー航跡場加速による準単色電子バンチの安定発生につながる成果を上げることができた。しかし、実験室工事の影響があったとは言え、全体として見れば、進展が遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザーの修理、調整も完了したので、次年度は早急に実験を実施することが急務である。複数のレーザービームを用いた照射系を構築すると共に、超高電子エネルギーの計測系を整備する。複数のプラズマを用いた多段加速実験を実施し、本研究で提案する手法による電子エネルギーの増倍を実証する。 ビーム航跡場加速を行うブースター加速段のプラズマ生成には、レーザー航跡場加速電子バンチ自身の電場による電離を用いる手法とレーザーを用いて予備的にプラズマを生成する2つの手法を検討していたが、後者の手法を優先的に実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの達成度の欄にも記載した様に、実験室の工事の影響、それが原因と思われる予想外のレーザー装置の故障により、予定していた実験のほとんどが実施できなかった。複数のレーザービーム、複数のプラズマを用いる複雑な系を用いた実験を実施する必要があり、実験を行いつつ実験系を構築する必要があると判断した。予定していたほとんどの実験を実施できなかった今年度は実験系を設計するにとどめ、この部分に充当する予定であった研究費の大部分を繰り越すことにした。 次年度は、複数のレーザービーム、複数のプラズマを用いた実験系の構築に必要な物品の購入、電子エネルギー増倍の実証に不可欠な超高電子エネルギー計測系構築に必要な物品の購入を中心に研究費を使用する。
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Research Products
(5 results)