2015 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーブレイクダウンしきい値近傍のパーコレーションモデルによる統一的理解
Project/Area Number |
25610173
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 進 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 明 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (10215709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブレークダウン / 絶縁破壊 / 長寿命励起状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,レーザーブレークダウン(LBD)に伴う複雑な現象を理解し,制御することである.LBDは,レーザーが強く集光された媒質が絶縁破壊される現象であり,透明な媒質が急激に不透明になることで光を吸収するようになる.このとき,光学または電気的特性が急激に変化し,強い発光や音を伴いプラズマを生成する.様々なレーザーエネルギー,レーザー波長,パルス幅のレーザー光に対して見られ,かつ気体,液体,固体など,様々な密度の媒質で起こっている普遍的な現象である.LBDにおける共通点の一つは,しきい値近傍におけるゆらぎが非常に大きいことである. 特に,連続光レーザー照射下での非線形結晶のLBDに着目し,そのトリガー機構を調べた.LBDを引き起こす透明な媒質の線形吸収係数は非常に小さいが,レーザー強度の増加にともなって吸収が増加する多光子吸収などの非線形吸収によって生成されたある励起状態は大きな吸収断面積を持つ.このため,励起状態による光の吸収を考慮したキネティクモデルを開発した.この励起状態は指数関数型にならない緩和過程を経ることが知られている.この緩和過程を説明するため,緩和速度の異なる2種類以上の状態を考慮するモデルを提案した.また,キネティクモデルで考慮している様々な状態間の遷移について,その係数の多くは,実験的,理論的に不確定である.このため,重要となる係数について,典型的な実験結果を説明することから決定した.2光子吸収が支配的でない比較的弱い強度領域において,レーザー強度の3乗に比例する急峻な温度上昇が発生する機構をこのモデルにより提案した.
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Research Products
(4 results)