2015 Fiscal Year Annual Research Report
自発形成するクーロン結晶における粒子温度と結晶欠陥に関する研究
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25610174
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
足立 聡 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (80358746)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微粒子プラズマ / クーロン結晶 / 粒子温度 / イオン温度 / 粒子加熱機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成27年度では、(1) 新型チャンバーの特性の把握、(2) 粒子へのエネルギー供給機構の検討、(3) 相転移制御を目指して研究を行った。(1) のために、小型プローブ取り付けポートを備えた新しいチャンバーを設計、製作したが、プローブ取り付けポート付チャンバーが当初想定していたよりも高額となったため、計測に必要な全ての部品を製作するには至らなかった。しかし、昨年度最適化したビデオ観察系を用いたクーロン結晶・クーロンクラウド形成実験は可能であったので、クーロンクラウドの境界形状から空間電位分布について推測しつつ、ダストプラズマ実験における大きな実験阻害因子であるボイド(粒子が存在しない領域)を抑制できそうかを検討した。ボイドはこれまでは不可避であるとされてきたが、新型チャンバーの実験結果から、ボイド抑制についての手がかりが得られたと考えている。(2) については、クーロン結晶中に伝播する波の解析から、イオン温度は室温程度であることが明らかとなった。一方過去のプローブ計測から電子温度は数 eV程度であることも分かっている。単純にこのことから考えると、粒子へのエネルギー供給源は電子ということになるが、粒子周辺の電位分布を計算した結果、イオンが空間電位と粒子の表面電位との電位差で加速されて粒子に突入する効果が大きいことが分かった。(3) については、新型チャンバーにおいて、液相と固相が共存していること、さらには固相の領域が時間の経過とともに少しずつ広がることが分かったが、プローブ計測に至らなかったため、定性的な現象の確認に留まった。なお固相にするには、ハイパワーを投入し、クーロン結合度を大きくすることが望ましいはずであるが、地上では重力の影響によりハイパワーではクーロンクラウドの厚みが極端に薄くなってしまい、パワーの影響を観察することは困難であった。
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Research Products
(2 results)