2014 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー座標上の電子分布を基本変数とする新規な電子密度汎関数法の構築
Project/Area Number |
25620004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英明 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10291436)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電子密度汎関数 / 交換汎関数 / エネルギー座標 / 静的相関 / 自己相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行の電子密度交換汎関数は全て、局所密度近似(LDA)とよばれる近似にその基盤を置いている。この近似体系は、種々の補正により、大きな成果をあげてきた。しかし、この方法には、その解決が殆ど不可能と考えられるほどに困難な問題が付随している。1つは静的相関誤差であり、もう1つは自己相互作用誤差である。前者は化学結合の解離極限において顕著になり、後者は、余剰電子が存在する系において増大することが知られている。問題はこれらのエラーが、小さい分子においてすら、数十 kcal/mol以上もの大きさを持つことであり、現行の汎関数の単なる補正では回避できそうもないことである。原理的な問題は、LDAが空間的に局所な電子密度やその近傍の情報によってのみ交換エネルギー密度を構築するところにある。 この問題を解決するにはLDAという近似体系を脱却し、新たな理論的枠組を構築するしかない。我々は、溶液理論で開発されたエネルギー表示の方法を電子密度汎関数に適用することを考えた。具体的には、原子核のつくる静電場をエネルギー座標として、通常の電子密度をこの座標上に射影することにより新しい分布関数を構築する。そうして、これを基本変数とする交換エネルギー汎関数を開発する。この方法によれば、空間的に非局所な電子密度の分布を考慮することができ、従って原理的に問題を解決できる可能性がある。 我々は、先ず、上記の方法が簡単な分子の結合領域近傍のポテンシャルエネルギーを記述できるかどうかを検証することからスタートし、その為の汎関数を開発した。具体的には、エネルギー座標上の平均の電子密度に対してBecke-Roussel汎関数を適用することによりエネルギー電子密度汎関数を構築した。この汎関数によれば、単純な2原子分子ではあるが、そのポテンシャルエネルギーがBLYPなどのGGA汎関数とほぼ同等の精度で計算できることが分かった。
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Research Products
(15 results)