2013 Fiscal Year Research-status Report
クラスターイオンの質量選択光解離画像観測法の開発と解離反応動力学の解明
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25620007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
美齊津 文典 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20219611)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クラスター / 光解離反応 / 質量分析 / 飛行時間質量分析計 / リフレクトロン / 化学反応動力学 / 装置開発 |
Research Abstract |
本研究計画では、ナノ材料の微視的モデルとして重要なクラスターのイオンについて、光解離反応で生成したイオンの並進速度・放出角度分布を、イメージング検出器を使って観測する手法の開発を行い、種々のクラスターイオンに関して解離の動力学を明らかにすることを目的としている。本計画で開発する装置は、クラスターイオンと生成物イオンの双方の質量を特定するための複数の反射電極を持つ飛行時間質量分析計と、画像観測装置を効率よく組合わせるという世界でも類のない特長を有している。これによって、レーザー光解離反応で生成したイオンの放出角度分布と並進速度分布の双方を画像として一気に取得することが世界で初めて可能となり、光解離反応機構の理解をより深めていくことができると期待されている。 本研究では、サイズ選択されたクラスターイオンの光解離動力学を研究するために、新たな複数反射型飛行時間質量分析器を設計・製作し、現有のクラスター生成・画像観測装置に組み込んで研究を行っていくよていである。そのために、25年度は、新たに着想した複数の反射領域を持つ飛行時間質量分析計を設計・製作して、それを現有装置に組込む作業を行った。さらにこの新規装置を用いて校正実験までを実施することを予定した。具体的には、まず(1) 複数の反射領域を持つ新たな飛行時間質量分析計の設計・製作を6ヶ月間の予定で行い、続いて(2) 現有の真空装置と新たな飛行時間質量分析計とを3ヶ月かけて連結した。さらに(3)すでに放出角度分布・並進速度分布の知られているMg-Ar+の系で紫外光解離実験を行うことによって、校正実験とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年の大震災後の耐震補強工事が、本研究を行う実験棟について急きょ実施されることとなり、25年8月から10月の3ヶ月間は装置の解体・移動・再組み立てに費やされることとなった。それにもかかわらず、年度末までに校正実験まで取りかかることができ、本来予定していた研究進捗スピードを上回っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、予定を上回る進捗状況であり、今後は実験装置の最適化と、予定しているクラスターイオンの系での実験適用を展開していく予定である。ただし、耐震補強工事の完了が予定よりも遅れており、26年度夏に再び移動しなけらばならなくなっている。このために、再び2ヶ月程度実験を停止する必要があるが、25年度の経験があるので大きな懸念は存在しない。
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