2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70202033)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 色覚 / 赤外分光 / 培養細胞 / 霊長類 / 水素結合 |
Research Abstract |
我々の視覚は明暗視を担うロドプシンと色覚を担う視物質から構成される。中間体の結晶構造まで決定されているロドプシンと比較して、霊長類色覚視物質の構造解析はこれまで皆無だったが、2010年に我々は世界で初めて培養細胞を用いて調製したサルの緑・赤感受性視物質の赤外分光解析に成功した。本研究では、この手法を用いてこれまで実験が不可能と考えられてきたサル青視物質の構造解析に挑戦している。 過去の文献によれば、赤外分光計測1回分の試料として300枚分の細胞培養プレートが必要な緑・赤感受性視物質に対して、青感受性視物質は3,000枚分(!)が必要だとされている。平成25年度には、より少量での試料調製を実現すべく試料調製の条件(発現量を増やすための様々な試み)や分光測定の条件(少量で測定するための様々な試み)を検討したところ、細胞培養プレート900枚分で赤外分光計測1回分の試料が得られることが明らかになった。そこですでに神取グループが世界をリードする高精度の低温赤外分光計測により、青視物質の構造解析を実現することができた。得られた信号には、レチナールだけでなく、タンパク質部分や水分子の構造情報も含まれており、まさに人類史上初のデータである。現在、得られたデータをもとに解析や解釈を進めているところであるが、青・緑・赤感受性視物質の振動構造データが出揃うことになり、タンパク質場が同一の分子を使ってどのように色識別を実現しているか、そのメカニズムを明らかにすることが可能になるものと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当研究課題は世界で誰も実現したことのない「霊長類青視物質の構造解析」というきわめて挑戦的なものであり、私自身は正直言って2年間で達成できるものではないと考えていた。それでも挑戦することで、何か先につながるものが得られると期待していたのである。しかしながら、この実験を担当した学生さんの頑張りにより、初年度にその信号を得ることができた。もちろん、データは論文として発表して初めて意味があり、今後、その努力を続けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に進んでおり、この方向での研究を進める。信号が得られた以上、2年間の期間内になんとか論文発表を目指したい。
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Research Products
(13 results)