2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 美智雄 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30281116)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表面・界面 / 表面反応 |
Research Abstract |
金属表面の触媒機能を取り上げると、表面に衝突する原子や分子との相互作用により表面構造が動的に変化し、それにともない電子状態、反応性も時々刻々変わる複雑な現象が起きている。ロコー反応は、シリーコン原材料であるメチルシランの合成反応としてシリーコン産業界において重要な反応である。本研究では、塩素を含まないロコ-反応モデル系の探索を分子線技術を用いて行うことを目的としている。 A. 無塩素ロコー反応モデル表面の準備と特性評価 銅(Cu)表面にシリコン(Si)原子を蒸着させ、無塩素ロコ-反応探索のための反応モデル系を作製する方針で研究を進めた。最初にCuそのものの反応性を調べるために、Cu(410)ステップ表面と銅金(Cu3Au)合金表面を準備し、その反応性を赤外反射吸収分光法(IRAS)および高分解能X線光電子分光法(XPS)により調べた。エチレン・一酸化炭素・塩化メチルおよび酸素分子を用いて反応性を評価し、ナノテラスをもつステップ表面の反応性の特徴や合金化の効果を明らかにした。塩素を含む分子と含まない分子のCu表面との相互作用の違いが明らかになった。併行してSi蒸着のための準備を行った。また、初期計画にあるように、Si基板を超熱酸素分子ビームにより酸化し、生成した二酸化珪素薄膜表面にCu原子を蒸着させたモデル表面系の作製を行う準備も併行して行った。 B. 無塩素ロコ-反応のメタン分子並進エネルギー依存性解明 Aで評価したモデル表面に、これまで開発してきている連続超熱分子ビーム装置を用いて、様々の並進エネルギーでメタンを入射し塩素を含まない分子との反応性を評価する実験を行うため、ビーム発生の準備を行った。その中で、超熱エネルギー領域の分子線発生と調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度には現所属への異動等があり、研究設備の立ち上げに時間を要しているため、研究がやや遅れ気味になっている。 A. 無塩素ロコー反応モデル表面の準備と特性評価 当初、シリコン(Si)基板を超熱酸素分子ビームにより酸化し二酸化珪素薄膜を作製し、その表面に銅(Cu)原子を蒸着させて反応モデル系を作製する予定であった。しかし、Cuがシリサイドを形成しやすいということと現有の赤外分光測定装置の性能等を考慮に入れ、最初にCu表面にSiを蒸着させ反応モデル系を作製する方針に切り替えた。当初計画のモデル表面作製は併行して進めている。 B. 無塩素ロコ-反応のメタン分子並進エネルギー依存性解明 様々の並進エネルギーでメタンを入射し塩素を含まない分子との反応性を評価する実験を行うため、超熱エネルギー領域の分子線発生テストを行っている。分子線発生装置の立ち上げに時間を要しているため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度研究は、研究計画遂行が、やや遅れぎみであったが、研究の方向性は変更しないで進める。 A. 無塩素ロコー反応モデル表面の準備と特性評価 :Cu表面にSiを蒸着させ反応モデル系を作製する方針で研究を継続する。Cuおよびその合金表面の反応性は解明できているので、Si原子の蒸着を行い、その反応性を調べる。併行して、当初計画のようにSi基板を超熱酸素分子ビームにより酸化し二酸化珪素薄膜を作製し、その表面にCu原子を蒸着させたモデル表面系を構築する。そのモデル表面系についても反応性を調べる。 B. 無塩素ロコ-反応のメタン分子並進エネルギー依存性解明:Aで評価したモデル表面に、これまで開発してきている連続超熱分子ビーム装置を用いて、様々の並進エネルギーでメタンを入射し塩素を含まない分子との反応性を評価する実験を行う。 C. 無塩素ロコ-反応の高効率化・高選択性探索と反応フィルタリング機能デザイン :平成25年度ならびにその継続研究の結果をもとに、Cuを合金化し(例えばZnと合金化する) 、無塩素ロコー反応の高効率化・高選択性を目指したモデル表面系の探索を行う。以上の結果を基にして、触媒能としてベストな性能が期待される無塩素ロコ-反応モデル表面を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品価格の変動により、予定価格との差額10,030円が生じた。 次年度予算と合算して使用する。
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