2014 Fiscal Year Annual Research Report
嵩高いアルキル基の自在合成を突破口とした超低配位ケイ素化合物の物性解明
Project/Area Number |
25620020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 真太郎 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (90436080)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 速度論的安定化 / ジシリン / 低配位ケイ素化合物 / シリリン / ジシラビニリデン / ジシラシクロブタジエン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績は以下の通りである。 1. シリリン合成を目指し、嵩高いアルキル基 (1,1-ビス(イソプロピルジメチルシリル)-3,3-ジメチルブチル基)を持つトリブロモシランを還元したところ、スピロペンタシラジエンが得られた。これはアルキル置換のスピロペンタシラジエンの初めての例である。この化合物は可視領域に二つの発色団(ジシレン)間の相互作用によって複数の吸収帯を有しており、各種スペクトルや理論計算から遷移の帰属を行った。このスピロペンタシラジエン生成には目的としたシリリンの関与が考えられる。 2. 以上の結果をもとに、現在合成できている最も嵩高いアルキル基(1,1-ビス(イソプロピルジメチルシリル)-3,3-ジメチルブチル基をケイ素上に導入し、シリリンの前駆体であるトリブロモシランを合成しようとしたが、現在のところ上手くいっていない。これは嵩高いアルキル基がケイ素上の官能基変換を阻害しているためである。これは今後より活性なハロゲン化剤の使用による反応条件の精査で解決する。 3. 前年度報告した安定ジシリンを用いて、その反応によるシリリンやジシラビニリデンの発生について鋭意検討した。その研究の途上、安定ジシリンとジブロモベンゼンの混合物に対して還元剤を作用させるとベンゾジシラシクロブタジエンが安定な化合物として得られることが分かった。この化合物はベンゼン(芳香族化合物)と1,2-ジシラシクロブタジエン(形式的には反芳香族化合物)が縮環した初めての化合物である。 研究期間全体の成果として、ジアルキルジシリン金属錯体の合成に成功し、ジシリンの詳細なデータと併せて論文として発表して高い評価を得た。また、ジシラビニリデン環状二量体、スピロペンタシラジエン、およびベンゾジシラシクロブタジエンなどの単離と電子状態の解明に成功した(それぞれ成果取りまとめ中)。
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