2013 Fiscal Year Research-status Report
重水素同位体効果を用いる有機薄膜太陽電池の変換効率向上
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25620021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 嘉則 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 名誉教授 (60029519)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重水素同位体効果 / 光電変換効率 / 官能基化フラーレン |
Research Abstract |
バルクヘテロ接合(BHJ)有機薄膜太陽電池はより安価で軽量、柔軟、大面積製造などの利点から研究の進展が著しく、環境にやさしい次世代太陽電池の有力の候補として期待されている。高い光電変換効率および実用化を達成するために、素材開発の一環として新しいπ電子共役系材料の開発による性能向上が大きなカギを握る。BHJ太陽電池が光により発電するためには、「ドナー」、「アクセプター」という2種の異なる材料が並んだ界面「ヘテロ接合」が必要である。ヘテロ接合の相分離構造の制御及びホールと電子の輸送経路の不確定要素などが光電変換効率に大きく影響することを念頭に置いた共役高分子(ドナー)やフラーレン誘導体(アクセプター)を中心とした新材料開発が盛んに進められている。我々は新規フラーレン誘導体アクセプター材料の開発によりBHJ太陽電池の変換効率向上を目指して研究を進んてきた。本研究では、「新しい有機合成技術の開発と有機薄膜太陽電池の原理に基づき、D化された様々な新規官能基化フラーレンの設計と合成を行い、高性能かつ安定なBHJ太陽電池の新規アクセプター材料を開発する」ことを目的とした。平成25年度では、新規D化モノ置換フラーレンアクセプターの合成とその重水素効果による光電変換効率向上に着目した。新規D化モノ置換フラーレンをアクセプター材料としてBHJ太陽電池に用いたところ、H化モノ置換フラーレンを用いたBHJ太陽電池に比べ高い光電変換効率が得られることを初めて見出した。さらに、当初の研究計画通り、コバルト触媒を用いることで、様々なフラーレンモノ環化付加体の新規合成法の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.我々がすでに開発したコバルト触媒を用いたモノ置換フラーレン官能基化反応に基づき、水の代わりに重水を加えると、様々なD化モノ置換フラーレンが高収率かつ高選択的に得られた。得られたD化モノ置換フラーレンをアクセプター材料としてBHJ太陽電池に用いたところ、4.16%の光電変換効率が得られた。これはH化モノ置換フラーレンアクセプターを用いた太陽電池にの2.40%比べ大きく向上した。この結果は高く評価され、アメリカ化学誌Organic Letters(2013, 15, 5674)に発表された。 2.上記したコバルト触媒反応を拡大することで、フラーレンC60と活性ジブロモ体を反応させると、様々な3ー、5-、6-、7員環モノフラーレン環化体が効率的かつ高選択的得られることを見出した。本フラーレン新規官能基化法はアメリカ化学誌Organic Letters(2013, 15, 4030)に発表された。
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Strategy for Future Research Activity |
BHJ太陽電池の高いエネルギー変換効率を達成するためには、開放電圧、短絡電流及びフィルファクタを大きくすることが必要である。ドナーのHOMOとアクセプターのLUMOの間のギャップを大きくすると高い開放電圧を得る傾向がある。従って、標準アクセプターPC61BMより高いLUMOエネルギー準位を備えたフラーレン誘導体を設計することが重要である。アクセプターとして56π電子共役系をもつICBAなどフラーレンビス環化付加体を用いた太陽電池では、その高いLUMOエネルギーにより高い開放電圧を与える。今後、平成25年度で得られた知見を基に、新しい56π電子フラーレンアクセプターの合成法の開発と重水素やフッ素原子などを導入することで更なる変換効率の向上を目指す。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Functional 2-benzyl-1,2-dihydro[60]fullerenes as acceptors for organic photovoltaics: facile synthesis and high photovoltaic performances2013
Author(s)
Shirong Lu, Tienan Jin, Takeshi Yasuda, Islam Ashraful, Md. Akhtaruzzaman, Liyuan Han, Khalid A. Alamry, Samia A. Kosa, Abdullah Mohamed Asiri, Yoshinori Yamamoto
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Journal Title
Tetrahedron
Volume: 69
Pages: 1302-1306
DOI
Peer Reviewed
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