2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620027
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40168563)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機化学 / ラジカル / ヨウ化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアルデヒドを出発物質として用い、これに適切な遷移金属錯体触媒と酸素、あるいは過酸化水素水を作用させ生成するペルオキシヘミアセタールを鍵中間体として、アルデヒドからのアルキルラジカル種の汎用的な発生法を確立することを目的に研究を行った。すでに前年度の研究で、アルデヒドに対し、触媒量のコバルトサレン錯体を、過酸化水素存在下、アセトニトリル中、ー20℃で作用させることで、脱ホルミル化の進行したヒドロペルオキシドが良好な収率で得られることを見出した。今年度の研究ではこの反応に基づき、発生するアルキルラジカル種の捕捉方法について種々検討を行った。その結果、ヨウ化ナトリウム存在下で同様の条件下反応を行うことにより、ヨウ化アルキルが得られることを見出した。各種条件検討を行った結果、酢酸を添加すると収率の向上が見られることがわかった。また、コバルトの配位子についても検討を行った結果、従来用いていたエチレンジアミン架橋型サレン錯体よりも、フェニレンジアミン型サレン錯体の方が、副生するカルボン酸の生成量が減少することがわかった。さらにTEMPO存在下本反応を行ったところ、生じたラジカル種がTEMPOによって捕捉された化合物を中程度の収率で得ることができた。また、分子内環化が可能な基質を用いた反応では、環化した生成物と環化しない生成物の混合物が得られた。この結果はヨウ素化反応が分子内環化と競合する速度で進行していることを示す結果であり、ヨウ素化体がヨウ素分子とラジカル種との反応で得られていることを示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた第一の目的であるアルデヒドからのラジカル生成を計画通りに達成することに成功している。さらに今回、このラジカル種をヨウ素化体として得る反応の開発に成功した。この反応はラジカル種の新しい発生法・利用法として特筆すべき成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本反応の基質一般性の検討を行うとともに、ヨウ素化反応の反応機構についても検討を行い、さらなる新しい展開の可能性を探索する計画である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、アルデヒドからのアルキルラジカルの発生を利用したヨウ化物合成反応の基質一般性を検討する予定であったが、副生成物であるカルボン酸の生成量を減らすための条件検討に時間がかかり、また、その生成機構に関する検討を新たに行ったため、基質一般性の検討を行うことが十分できずに、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヨウ化物合成の基質一般性の検討ならびに反応機構に関する検討を継続して行う。
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