2014 Fiscal Year Annual Research Report
超イオン伝導性を示す高移動度熱電変換材料の開発と乱れの制御
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25620040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石渡 晋太郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00525355)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱電変換 / 層状遷移金属カルコゲナイド / 半金属 / 超イオン伝導 / ゼーベック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガラスのように低い熱伝導性と高い電子移動度を併せ持つ理想的な高効率熱電変換材料の開発を目指し、層状遷移金属カルコゲナイドに着目した物質開発を進めてきた。特に電子構造や結晶格子の乱れを化学的に精密制御することにより、熱電性能の向上を試みている。本年度は、高い移動度を示すものの、半金属的なバンド構造を有するために、低いゼーベック係数を示す層状カルコゲナイド1T-MoTe2に着目し、正孔ドーピングによる熱電性能の向上を目指した。MoTe2には、1T型に加えて半導体的挙動を示す2H型の二種類の多形構造が存在するが、どちらの構造であっても、Moの一部をNbで置換することで正孔キャリアに支配された金属となり、10%程度Nbドーピングした試料において、室温で比較的高い熱電性能を示す(ZT~0.02)ことが明らかとなった。室温におけるゼーベック係数のドーピング依存性は、第一原理計算から予測されるゼーベック係数の変化とよく一致していることから、この系におけるNb置換がリジッドバンド的正孔ドーピングとして働いていることが強く示唆された。また、Nb置換が結晶格子に与える影響に関してであるが、2H型の格子熱伝導度はNb置換によって半分近くにまで減少しており、ローカルな格子の乱れが効果的に熱伝導度を低下させていることが示唆された。一方、1T型のそれはNb置換による低下は見られず、Nbが良い散乱体として振舞っていないように思われる。本研究ではさらに、全固溶させたMo1-xNbxTe2を様々な合成温度条件で作製し、x=0.6近傍の組成において、遷移金属テルル化物として初めての多形構造となる3R型を見出すことに成功した。
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