2013 Fiscal Year Research-status Report
界面電荷移動遷移を新規動作原理に用いた次世代無機太陽電池の研究開発
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25620054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤沢 潤一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (20342842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 新原理 |
Research Abstract |
界面電荷移動遷移を新規動作原理に用いた次世代無機太陽電池の実現には、界面電荷移動吸収を強く示す異種無機半導体ナノ微粒子の複合材料が必要であり、強い界面電荷移動吸収の発現には、異種無機半導体ナノ微粒子間の強い電子的結合が必要不可欠である。しかしながら、このような材料はこれまで報告されていないのが現状である。そこで、H25年度は、異種無機半導体ナノ微粒子間の界面での強い電子的結合の実現に向けて、実験と理論の両面で研究を行った。実験面では、酸化チタンと酸化モリブデンのナノ微粒子等を用いて複合材料の作製と評価を行った。しかしながら、現在までに界面に強い電子的結合をもつ複合材料の成功には至っていない。この原因としては、異種無機半導体ナノ微粒子間で化学結合(σ結合)があまり形成されていないことが考えられる。このようなことから、現在、異種無機半導体ナノ微粒子を直接結合することに加えて、有機分子を介した複合材料の合成を試みている。これは、無機-有機間で強い電子的結合を引き起こすことが報告されている有機分子を用いて、異種無機半導体ナノ微粒子の複合材料を作製する新しい手法である。一方、理論研究では、密度汎関数法(DFT)を用いて界面での電子的結合状態について検討を行った。このDFT計算では、酸化チタン上にモリブデンの水酸化物錯体を構築したモデルを用いたが、酸化チタン上でのモリブデン錯体の電荷により計算結果が大きく変化してしまうことがわかった。しかしながら、DFT計算の結果では、酸化チタンと酸化モリブデン間にσ結合が形成されれば、強い電子混成が生じることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面で強い電子的結合をもち界面電荷移動吸収を強く示す異種無機半導体複合材料はこれまで報告例がないために、基礎科学のレベルからの研究を行いました。このような理由から、1年目は新しい複合材料の作製と分析を行い、おおむね順調に進展していると考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、界面電荷移動吸収を強く示す異種無機半導体複合材料の作製と界面電荷移動遷移による光電変換を観測する予定であります。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、材料探索と理論計算を行ったため、太陽電池作製に用いる電気炉の購入を行わず、国際学会への参加もなかったためです。 H26年度は、太陽電池作製に用いる電気炉を購入し、国内と国際学会に参加する予定です。
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