2014 Fiscal Year Research-status Report
有機/無機複合ナノ接合による熱電変換特性の解明と制御
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25620058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 亮 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20343741)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単分子接合 / 熱起電力 / 熱電 / ゼーベック係数 / 走査型トンネル顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の主目的である単分子接合におけるゼーベック係数の制御方法に関しては、昨年度に実験結果を得ていた金属内包フラーレンを利用した研究と、分子と電極の接続部位をピリジンからオリゴチオフェンに変化させた際のゼーベック係数の変化を明らかにした。 金属内包フラーレンの研究では、昨年度に加え、新たにフロンティア軌道部分で大きなスピン依存性が期待されるCe@C82の測定を行い、観測されたゼーベック係数は、C82が-23 uK/Vに対して、Gd@C82は -31 uV/K、Ce@C82では、-30 uV/Kであった。Gd@C82とCe@C82では、孤立した分子のフロンティア軌道には大きな違いが見られるものの、大きな違いが観測されなかった。この原因を明らかにするため、共同研究者により第一原理計算が行われ、電極に接続された状態ではCe@C82が負に帯電し、両者の間の伝導に寄与する電子状態は結果として似た形状を示すことが明らかとなった。 分子と電極をつなぐための官能基は、分子接合のフェルミレベルと分子軌道の関係を制御する重要な因子である。共同研究者によって新たに合成されたフェニル骨格部分を有する分子において、電極との接合部分を担う官能基としてピリジンおよびオリゴチオフェン分子を利用した場合、前者ではゼーベック係数が負に、後者では正になることを見出した。この結果から、結合部位の設計により実用素子の設計に必要なp型およびn型素子の開発が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた装置開発の一部は引き続き次年度に継続する必要があるが、平成27年度に計画されている計測内容の一部を前倒しして行い、有意な結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、分子/電極接合の化学種とゼーベック係数の関係を明らかにする。また、分子接合のゼーベック係数の発現機構を理解する上でより本質的な情報を得られる極低温におけるゼーベック係数の測定方法を開発するとともに、トンネル分光測定による接合の電子状態の直接解明とあわせ、高ゼーベック係数を実現するための設計指針を得る。
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Causes of Carryover |
現状の装置で、H27年度に予定していた部分の研究の進展を優先させることができた、また、予定していた機材を購入せずとも予定していた装置の開発が可能となったため、費用の一部を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H26年度に行う予定であった装置開発のための部材の一部、および成果発表のための旅費として使用する。
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Research Products
(14 results)