2014 Fiscal Year Research-status Report
フォトリフラクティブ強誘電性液晶による実時間動的ホログラムの開発
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25620067
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 健夫 東京理科大学, 理学部, 教授 (80261501)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フォトリフラクティブ効果 / 強誘電性液晶 / 光増幅 / 2光波結合 / 非対称エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電性液晶のフォトリフラクティブ効果についての研究を行っている。フォトリフラクティブ効果とは,動的なホログラムが形成される現象であるので,光パラレル論理回路や光信号増幅,光パターン認識,位相共役などの光デバイスの実現のための材料のひとつとして期待されている。一般に、強誘電性液晶は単一の化合物ではなく,数種類~数十種類の化合物の混合物である。強誘電性を示す温度範囲や配向特性、複屈折などを単一の化合物で調整することは不可能なためである。数種類の液晶性化合物を混合してスメクチックC相を形成する母体液晶を調製し,これに不斉構造を持つ化合物(キラルドーパント)を混合するとキラルスメクチックC相(SmC*相)を形成する強誘電性液晶が得られる。フォトリフラクティブ強誘電性液晶を得るためには,この強誘電性液晶にさらに光導電性色素を混合することになる。しかし,光導電性色素は多くの場合、液晶性化合物ではないため,これらを混合することによって強誘電性液晶の配向特性は低下し,無欠陥で均一に配向させることが困難になってしまう。この問題を回避するために,我々は光導電性キラルドーパントを開発した。これは光導電性色素に不斉構造を結合させたもので,スメクチックC相を示す母体液晶に混合すれば,直ちにフォトリフラクティブ強誘電性液晶が得られる。我々が新たに調整した混合物液晶は強誘電性を示し、さらに光導電性を示す。この混合物液晶を用いて2光波結合実験を行った。この液晶混合物を用いて、動画光信号増幅ができるかどうかの検討を行った。動く画像をレーザー光にのせて強誘電性液晶試料に入射し、それによって動く動画光信号の増幅が可能であるかを検証した。ポンプ光の入射によって、動画はスムーズに増幅されることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、高いフォトリフラクティブ特性を示す材料をえることができた。さらに動的2次元画像シグナルを実時間で増幅されることを実験的に示すことができた。材料の劣化の問題についても、その理由を明らかにし、劣化防止対策についてもある程度実用的な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
フォトリフラクティブ効果を原理とする光信号増幅システムを実用化レベルに持っていくこと目標とする。そのために、優れたフォトリフラクティブ特性(高い回折効率,大きな利得定数,速い応答)を示す強誘電性液晶材料の設計指針を探求する。先ずは強誘電性液晶におけるフォトリフラクティブ効果の発現メカニズムの詳細についての知見を得ることが必要である。さらに,強誘電性液晶材料は様々な化合物からなる混合物であるので,それら各化合物の構造や組成を検討しなければならない。さらに強誘電性液晶材料では配向状態の制御も重要な要素であるので,その検討も行わなければならない。
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Research Products
(7 results)