2013 Fiscal Year Research-status Report
キラル共役系化合物による特異な円偏光発光特性の発現
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25620068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (30391220)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キラリティー / 円偏光発光 / 共役系化合物 / エネルギー移動 / 白色発光 |
Research Abstract |
本研究提案では、新物質探索の観点から光弾性変調器を使った円偏光発光異方性の高精度測定システムを構築するとともに、新物質に繋がるこれまでのリード化合物(青色発光)を高分子化・組織化(g値の上昇をもたらす)した後に、高効率な分子間エネルギー移動(緑、赤色発光らせん分子への部分的エネルギー移動)を利用することで、白色発光を示す新規材料の開発を行う。既報から高効率白色発光系を構築する指針が提示されており高分子化、集合体化によりナノインプリント用熱成形性材料へと導き、らせんマクロ構造体を構築することで、g値の更なる増加が期待できる。その結果、成形可能、軽量な新しい円偏光発光フォトニックデバイスの実現を達成する。 今年度は、金触媒を使った分子内ハイドロアリレーションによって、トリフェニレン骨格が立体的に二重に重なったS型ダブルアザヘリセンを合成した。この化合物は450 nm付近に極大蛍光波長を持つブロードな蛍光スペクトルを示し、円偏光発光特性を調べてみると、興味深いことに、一重よりも二重に重なったS型ダブルアザヘリセンの方が円偏光発光異方性を意味するg値が数倍以上、大きいことを見出した。尚、本成果は東京農工大学 田中 健 教授との共同研究で行った知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、トリフェニレン骨格が立体的に二重に重なったS型ダブルアザヘリセンを合成し円偏光発光特性を調べてみると、興味深いことに、一重よりも二重に重なったS型ダブルアザヘリセンの方が円偏光発光異方性を意味するg値が数倍以上、大きいことを見出した。一方で、光弾性変調器を使った円偏光発光異方性の高精度測定システムを構築することができつつあるが、まだデモンストレーションできていない状態である。来年度は、円偏光発光異方性測定システムの完成とキラル化合物の高精度な円偏光発光異方性の測定を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、円偏光発光異方性測定システムの完成とキラル化合物の高精度な円偏光発光異方性の測定を目指す。 次いで、発光特性を示すキラル共役系化合物については、大きな円偏光発光異方性を実現するために、大きなモル吸光係数、高い発光量子収率、さらには立体障害が大きなキラルな官能基を持つ分子骨格を設計・合成する。たとえば、フェニレンエチニレン誘導体やフェニレンビニレン誘導体(OPE、OPV、OPVCN)を基幹にして、大きな円偏光発光異方性を示す新しいキラル共役系化合物の分子設計と合成に取り組む。OPE、OPV、OPVCNなどの共役系化合物は有機EL材料として使用されることがあるので、優れた発光特性を示す有力な化合物である。これら共役系化合物の側鎖に、コレステリル基のようなBulkyなキラル官能基を導入すれば、大きな円偏光発光異方性の発現が期待できる。円偏光発光異方性の度合は、側鎖のキラル官能基の分子形状や分子の大きさによって増減すると予想できるので、分子構造と円偏光発光特性の相関関係を明かにする。その結果、大きな円偏光発光を示すキラル共役系化合物の新しい分子設計指針を打ち出す。
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