2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620069
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中西 尚志 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主幹研究員 (40391221)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 金属錯体 / 常温液体 / 発光材料 / 磁性材料 / エレクトロクロミズム |
Research Abstract |
機能性分子コアを柔軟性側鎖により取り囲むことで、バルク状態において分子固有の光・電子・磁気機能を発揮でき、低粘性、低融点、不揮発性の無溶媒常温液状物質の創製と機能開発を目指して本研究に取り組んでいる。機能性コアとして、特定のイリジウム錯体を採用することで、単一分子白色発光の液体材料として仕立て、フォールダブルデバイス用発光材料としての応用を目指している。平成25年度は、二種類のイリジウム錯体の創成を達成した。第一世代となる分岐側鎖が2本のみ導入された錯体は、狙いの常温液体とはならず常温固体であった。そこで第二世代として、分岐側鎖を一分子中に4本持つ設計にした結果、常温液状のイリジウム錯体を得ることができた。その発光は単一分子白色発光に非常に近い発光であることまで確認した。 イリジウム錯体は3次元性の錯体であるため、その比較として二次元性骨格の白金錯体の合成を行い、その相挙動の検討を今現在行っている。まだ詳細は検討が必要ではあるが、二次元性の高い白金錯体では、常温液晶の物質となるようで、錯体の骨格構造がそのソフト系相構造にと良く反映することが分かった。 また、金属錯体コアとしてダブルデッカー型ルテシウムフタロシアニンを採用し、定常状態においてスピン活性な分子の酸化還元状態を制御、磁性、色情報を可変できるメモリ材料の開発を行っている。平成25年度は、分岐アルキル鎖長が長いものと短い錯体の合成まで成功した。片方の分子は、常温の定常状態でスピン活性な液体物質であることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イリジウム錯体、白金錯体およびルテシウムのフタロシアニンダブルデッカー錯体などを分子設計合成することに成功し、その相挙動の解明まで踏み込んだ研究に取り組むことができている。イリジウム錯体の場合は、リガンドを第一世代、第二世代と大きくし、導入する分岐アルキル側鎖数を増やすことで、固体から液体材料までを系統的に導くことができた。一方、白金錯体ではリガンドが平面性が高く、当初の思惑通りの液体とはならず、液晶性の材料となった。このイリジウムおよび白金錯体に関しては、溶液中および溶媒なしのニート状での発光挙動の検討まで行うことができた。 ルテシウムフタロシアニンに関しては、分岐側鎖の長さの違いで、固体と液体の材料の作り分けまで達成し、現在液状材料のエレクトロクロミズム挙動に関して検討を開始した所である。
|
Strategy for Future Research Activity |
イリジウムおよび白金錯体に関しては、X線測定により相構造を明確にすることで、金属錯体のソフト材料化への分子設計指針を提示する内容として、この段階で学術論文としてまとめる。その後、イリジウム錯体の液体、白金錯体の液晶を用いて、発光デバイスの試作まで行い、発光エレクトロニクス分野における金属錯体ソフト材料の有用性を議論する。 一方、ルテシウムダブルデッカーフタロシアニンに関しては、エレクトロクロミズム、およびスピン制御を無溶媒の液状状態で達成し、ITO電極間に挟み込んだプロトタイプの表示デバイスの作成まで試みる。論文としては、合成主体に相構造の制御、および有機半導体性能で一つ、エレクトロクロミック性能を前面に出す、電子ペーパー応用に関してもう一報の論文発表まで計画している。
|
-
-
-
-
-
[Presentation] π共役分子常温液体2014
Author(s)
中西尚志
Organizer
日本化学会第94回春季年会
Place of Presentation
名古屋大学東山キャンパス、名古屋
Year and Date
20140327-20140328
Invited
-
-
-
-
-
-
-
-
-