2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子で創る超格子: 分子へテロ界面形成過程の直接観察からのアプローチ
Project/Area Number |
25620070
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
若山 裕 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (00354332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超格子 / 有機半導体 / ヘテロ界面 / 走査型トンネル顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は異種分子を一層ずつ交互に積み重ねた「分子超格子」の創製技術を確立することを目的にした。この目的のためまずは走査型トンネル顕微鏡(STM)を使って界面形成過程のリアルタイム観察を実施し、そのメカニズムを解明することから取りかかり、そこから単一分子レベルで平坦な異種分子へテロ界面をもった分子超格子へと発展させることを目指した。この実験のためには独自に開発した精密蒸着技術を応用した。 実際にはn型有機半導体のフッ素化フタロシアニンとp型有機半導体のペンタセンの組み合わせでSTM観察をヘテロ界面の形成に取り組んだ。実験開始当初はこれらの分子を順次蒸着すると単純に単一分子層が積み重なった分子二層構造が形成されると予想していた。しかし第一層目をフタロシアニン、第二層目をペンタセンとした場合には蒸着と同時に相互拡散が起き、混晶二重層を形成することが分かった。この蒸着する順番を逆にした場合にはペンタセン層の格子間にフタロシアニンが不規則に挿入された固溶相が形成去ること見出した。これは両分子間に形成される水素結合によってエネルギー的に安定な構造を取るべく、異種分子が混合することも合わせて明らかになった。 以上の知見をもとにp型・n型有機半導体の積層構造において混合相を形成しない組み合わせとしてペリレン誘導体とチオフェンオリゴマーの組み合わせを採用した。その結果、単一分子レベルで平坦かつ急峻で、さらに分子の配向までも規定された異種分子へテロ界面の形成に成功した。
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