2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620071
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
吉井 賢資 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (90354985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 安宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (30343924)
松村 大樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (30425566)
小林 達生 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80205468)
福田 竜生 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (80354984)
齋藤 寛之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (20373243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子強誘電体 / 超伝導 / 三角格子 / Resonating Valence Bond / 量子揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らが発見した電子強誘電体RFe2O4(R:Ho-Lu)において、超伝導相の発見を目的として研究を継続した。目的を達成するための一つの試みとして、鉄3d電子間の相互作用を増強するため、高圧下での電気抵抗測定を行った。キュービックタイプアンビルセルを用いた高圧プレスにより、最大数GPa程度の高圧下で電気抵抗を測定できる装置を作成した。これを用い、フローティング法により作成した良質YFe2O4単結晶の電気抵抗を、温度と圧力を変えながら測定した。1.5 GPa程度の圧力に置いて、330K付近での鉄電荷秩序状態の崩壊が起こっていることを示唆する挙動が観測された。すなわち、高圧印加により、三角格子面内の鉄イオン間の距離が縮まったため、鉄3d電子が移動しやすくなったと解釈されるデータが得られた。しかし、4 GPa程度の圧力までの領域では、試料は半導体的性質を保ち、超伝導を示唆する現象は見いだせなかった。また、超伝導に有利となる量子揺らぎを強める目的で、鉄イオンより小さいスピンをもつコバルトなどの元素の置換を試みる実験を継続したが、単相試料は得られていない。 超伝導相の発見という目的からは多少外れるが、Rサイトを大きな希土類Dy3+などで置換すると、磁気転移温度が250Kから5-10K上昇することを見出した。本結果を含む論文は、phys.stat.sol(c)に印刷中である。この結果は、Rサイト置換で電子間相互作用が増強できる可能性を示しており、現在研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超伝導相を見出すための高圧下電気抵抗測定を行えたことは評価できると考えられる。また、応用的に重要な観点である、磁気転移温度を上昇させる手段が示唆されたことは、派生的ではあるが興味深い結果である。しかし現在まで超伝導の兆候を見いだせていないことから、この評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
RFe2O4の物性は酸素量に敏感であることが知られている。今後、この系につき、意図的に酸素量を変えて電気抵抗率を下げた試料に対して高圧下電気抵抗測定を行い、金属相の出現など、超伝導に繋がる現象が見られるか否かを観測する。
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Causes of Carryover |
超伝導が発見された場合に考えていた、放射光による電子状態や結晶構造の観測の実験が実施できていないため、そのための経費は執行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
超伝導を発見するための、鉄サイト置換や高圧電気抵抗測定等の物性探索実験に用いる。
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