2013 Fiscal Year Research-status Report
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25620072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大宮 寛久 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40508876)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不飽和炭化水素 / 還元的炭素炭素結合形成 / 銅触媒 |
Research Abstract |
化学工業の基本原料であるエチレンやアセチレンなどの不飽和炭化水素類を活性化(還元)しながら、極性あるいは非極性不飽和化合物に導入するための直接的かつ斬新な分子変換プロセスの開発に挑戦する。具体的には、アルケンあるいはアルキンの還元的カルボキシル化、カルボニル付加、共役付加などを検討する。本年度は、幾つかの不飽和炭化水素類の還元的有機合成反応の開発を検討し、以下に述べるような成果が得られた。 末端アルケンの9-BBN-Hを用いたヒドロホウ素化により調製されたアルキルボラン、アルキノエート、Bu3SnOMeを触媒量のCuOAc (10 mol %)、t-BuOK (10 mol %) 存在下、1,4-dioxane 溶媒中 60 ℃ で作用させると三成分アルキルスタニル化反応が進行し、三置換ビニルスズ化合物が得られた。本反応では、アルキル基とスズ基がアルキノエートのβ位とα位にそれぞれ完全な位置選択性を伴ってsyn付加の形式で導入される。本手法は、末端アルケンを求核剤前駆体として利用する還元的合成反応である。合成された三置換ビニルスズを右田-小杉-Stilleクロスカップリングなどのような様々な分子変換反応を用いることで、医薬品あるいは生物活性化合物に多く見られる四置換オレフィンに誘導できた。また本反応は、形式的なアルキンのアルキルスタニル化反応であり、これまで実現困難であったアルキル基の導入を可能にした。 銅(I)/(R)-DTBM-MeO-BIPHEP錯体触媒を用いた9-BBN型アルキルボランとγ,γ-二置換第1級塩化アリル類の位置およびエナンチオ選択的アリル化反応を見出した。本手法により三つの様々なアルキル基と一つのビニル基で構成される第四級不斉炭素中心を構築できた。求核剤前駆体として末端アルケンを利用できる第四級不斉炭素中心の新たな構築法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、幾つかの不飽和炭化水素類の還元的炭素炭素結合形成反応の開発に成功した。これら開発された変換反応は高い選択性を有しており、強力な有機合成手法となりうる。
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Strategy for Future Research Activity |
アルケンあるいはアルキンなどの不飽和炭化水素類の還元的有機合成反応の開発を継続して行う。クリーンなエネルギー媒体である分子状水素を還元剤として利用する手法の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に旅費額に変更が生じたため、次年度使用額が生じた。 不飽和炭化水素類の環境調和型分子変換反応の開発に必要な実験消耗品および旅費に使用する。
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