2014 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化物低分子量物質の特異的活性化による高付加価値化合物への立体選択的変換反応
Project/Area Number |
25620075
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒井 孝義 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80272483)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不斉合成 / 触媒 / 金属錯体 / 活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属不斉触媒にプロトンの活性化機構を付与した「多点活性化」によって、単一金属触媒や有機触媒単独では成し得ない高い触媒活性と高度な立体選択性を有するインテリジェント不斉触媒を開発することを目的にしている。 昨年度の研究において、ニトロメタンやメタノールなど低分子量化合物を活性化する触媒の開発に成功した。 本年度は、これらの知見をもとに、イサチン由来のN-Bocケチミンに対するメタノールの付加について、反応機構の解析を行い、ビスイミダゾリジンピリジン(PyBidine)‐ニッケル不斉触媒が有する「金属イオンとプロトンの協奏的な活性化機構」を明らかにすることに成功した。これは、PyBidine‐銅触媒を用いるアゾメチンイミンとイミノエステルの[3+2]環化付加反応にも見出せるものであり、この作用を展開することでメチレンインドリノンとイミノエステルの[3+2]環化付加反応による多置換スピロキシインドール類の効率的な触媒的不斉合成にも成功した。また、メタノールの付加を過酸化物の付加反応に適用し、極めて特徴的な構造を有するN,O-アセタールの触媒的不斉合成に成功した。 また、低分子カルボン酸を活性化するアミノイミノビナフトール‐亜鉛三核錯体の開発にも成功し、高不斉収率にてヨードエステル化を実現した。 さらに、アセトニトリルの活性化に挑戦した。アセトニトリルそのものを効果的に活性化することは困難であったが、マロノニトリルを活性化するピンサー型金属不斉触媒の開発にも成功した。ここでもイミダゾリジン環を金属を挟み込むように配置することで、金属イオンとプロトンの協奏的な活性化の有用性を確認することができた。本反応により、天然および非天然型のアミノ酸の効果的な触媒的不斉合成法を確立した。
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