2014 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的酸素原子移動反応を活用する新規ケテン発生法の開拓
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25620077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 芳彦 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (60283412)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒 / アルキン / ルテニウム錯体 / 環化反応 / 多環芳香族化合物 / 複素環化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
末端アルキン、シリルアルキン、ハロアルキン等から発生するビニリデンカルベン錯体に対する酸素原子移動による新規ケテン生成を目的として、さまざまな反応基質、錯体触媒および酸素原子供与体をスクリーニングした。その結果、ケテンの発生を示す実験結果は得られなかったものの、以下の二つの反応を見出した。 2-エチニルビアリールに対しルテニウム錯体触媒と種々の酸素原子供与体を反応させ、ケテンを経由する6π環状電子反応による縮環フェノールの合成を検討した。しかしながら、酸素原子の移動が起こる前に環化が進行し、フェナントレンが生成することを見出した。特に、p-シメンおよびトリフェニルホスフィンを配位子とするジカチオン錯体が最も効率が良く、フェナントレンのみならず、フラン、チオフェン、ピロール環を多環複素環化合物の合成に有効であることを確認した。その後の密度汎関数分子軌道計算を用いる反応機構解析により、本反応が、ビニリデンカルベン錯体を経由しない機構で進行することを提唱した。 さらに、シリルアセチレンからの1,2-ケイ素転位を伴うビニリデンカルベン錯体の発生と、引き続く酸素原子移動を検討した。トリメチルシリル基を末端に有する1,6-ジインに対して、ニトロンを酸素原子供与体として反応させると、ケテンの発生は認められず、代わりに[2+2+1]型酸素移動環化反応が進行してシリルフランが得られた。本反応は、トリメチルシリル基を少なくとも一つ有する1,6-ジインに対し一般性をもって進行し、生成するシリルフランは合成中間体として利用可能であることから、有機合成化学上有用な反応であると判断し、現在、反応条件の最適化と生成物のさらなる変換を検討している。
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Research Products
(3 results)