2013 Fiscal Year Research-status Report
高密度界面酵素反応場の構築を基軸とするひまし油の効率的分子変換
Project/Area Number |
25620079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
清水 真 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30162712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リパーゼ / ヒマシ油 / グリセロール誘導体 / 非対称化反応 / アシルドナー / 固定化リパーゼ / マイクロリアクター / リシノール酸誘導体 |
Research Abstract |
ヒマシ油をアシルドナーに用いたリパーゼによるグリセロール誘導体の非対称化反応について検討した。リパーゼ、溶媒、時間、グリセロール誘導体、アシルドナーの当量について検討を行った結果、リパーゼとしてPPLを用いた時が最も良く反応が進行したため、以降は、リパーゼとしてPPLを用い検討を行った。溶媒の検討では、MeCN-THF混合溶媒を用いた時が75% deと最も良い選択性を示した。また、単一の溶媒ではMeCNを用いた時が最も反応性が高かった。時間検討では、それまで3.5時間で反応を行っていたところを0.5時間に短縮して行ったが、劇的な選択性の向上はみられなかった。グリセロール誘導体の検討は、グリセロールの2位をベンジルオキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基で保護したグリセロール誘導体を用いて行ったが、いずれのグリセロール誘導体を用いた時も選択性が70% deで同じであった。アシルドナーの当量検討では、それまでヒマシ油とグリセロール誘導体の当量を1:1で行っていたが、この比を2:1と4:1に変えて行った。ヒマシ油とグリセロール誘導体の当量を4:1にした時が最も選択性が高く、75% deであった。 次に、リシノール酸誘導体をアシルドナーに用いたリパーゼによるグリセロール誘導体の非対称化反応について検討した。リパーゼの検討を行ったところ、Lipase AKを用いた時が最も反応性が高かった。このため、時間検討はLipase AKを用いて行った。Lipase AKを用い、12時間反応を行ったところ、収率、選択性が飛躍的に上昇し、収率64%, 92% deでモノアシルグリセロールを得ることに成功した。固定化リパーゼマイクロリアクターに関しては今年度検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度後半(10月から)は三重大学分子素材工学棟の改修工事にあたってしまい、十分な実験場所が確保できなかった。また、他施設等で代替えして行えない内容の実験であるため、これらについては中断を余儀なくされた。従って、25年度の成果は殆ど9月までに得られた結果である。全体としては、リパーゼのスクリーニングに関してはかなり検討することができ、何とか計画の80%程度は達成する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本学分子素材工学棟の改修工事が完了し、現在新実験室を整備している段階である。26年度は5月の連休明けから本格的に実験が再会できるので、担当する学生の人数を増加して、前期の段階で昨年度やり残した固定化リパーゼマイクロリアクターによる検討を行う予定である。従って、後期には各種ジアシルグリセロール誘導体をグリコシル化し、スルホキシルジアシルグリセロール の開発に展開できるものと思われ、概ね予定通り研究を遂行したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は本学分子素材工学棟の改修にあたってしまい、十分な実験室を確保する事ができなかった。また、他施設等で代替えして行えない内容の実験であるため、これらについては中断を余儀なくされた。従って、研究に用いた試薬類およびガラス器具類などは、本研究室にもともとあった物を大部分用いた関係で、26年度に助成金の大部分を繰り越す事になった。 26年度は25年度の研究の遅れを取り戻すべく、研究に携わる大学院生の人数をかなり増加する予定である。従って、良好な実験を多数行うことを計画しており、そのために反応試薬、ガラス器具などを大量に購入する予定である。また、分子素材工学棟の改修が完了し、新実験室になった関係で、より安全に研究の効率を上げるべく、有機溶媒精製装置の購入も予定している。
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Research Products
(12 results)