2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25620080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90213636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 励起状態分子内プロトン移動 / アゾール / フルオレン / スピロ構造 / 白色発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)は、大きなストークスシフトの発光を実現できる興味ある挙動である。我々は、ESIPTにより橙色発光する2-(3-ヒドロキシ-2-ナフチル)イミダゾールを剛直なスピロ構造を介して青色発光を示すフルオレンと連結した分子により補色2色発光による単分子白色発光分子の創製研究を進めている。前年度既に、イミダゾール1位およびフルオレンの2,7位に電子状態の異なるアリール置換基を導入することにより系統的な発光色の変化を詳細に調査し、イミダゾールに4-ヒドロキシフェニル基を、フルオレンに5-フェニルエチニルチオフェンを導入した場合に、溶液およびフイルムマトリックス中で理想に近い白色発光を実現した。 今年度は、理論計算による発光現象の解析ならびに、ホウ素置換基によるESIPTの制御と新規二段階ESIPT分子の設計と合成を行った。理論計算の結果からは、アゾール環としてオキサゾ-ルでもESIPTが起こること、また、オキサゾ-ルの場合は、イミダゾールの場合になかった酸素部位での水素結合がESIPTを阻害することが明らかとなった。また、励起状態の理論的解析からESIPTによるストークスシフトの程度が、ケト体の基底状態の不安定化により変化することを明らかにした。したがって、ホウ素置換基の効果はESIPTにネガティブな効果をもたらすことを初めて明らかにした。 さらに、新規白色発光分子の創製に重要な役割を果たすであろう二段階ESIPT分子の創製にも取り組み、オキサゾ-ルとイミダゾール部位を含むフェノール誘導体を合成し、吸収スペクトル、発光スペクトルおよび理論計算によりフェノール→オキサゾ-ル→イミダゾールへと二段階の励起状態プロトン移動が起こることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)