2013 Fiscal Year Research-status Report
ラジカルカチオンプール法を用いるC-H官能基化反応の開発
Project/Area Number |
25620081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 潤一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30127170)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラジカルカチオン / 電解酸化 / C-H 官能基化 |
Research Abstract |
電解反応を用いた有機合成は化学反応剤を必要としない環境負荷の小さい反応である。本研究の目的は、「ラジカルカチオンプール法」などラジカルカチオンを用いた電解合成法を確立するとともに、それを用いたC-H結合の官能基化反応を開発することである。本方法は、反応剤や触媒を用いずC-H結合を直接官能基化できる点で、優れた合成法となるものと期待できる。 本年度は、芳香族化合物のC-H結合をアミノ基(-NH2)に変換する方法を開拓した。アセトニトリル/ピリジン(100/5)共溶媒中でナフタレンを室温で電解酸化した。得られた粗生成物を減圧乾燥した後、ピペリジンとアセトニトリルを加え80 °Cで12時間撹拌したところ、目的の1-ナフチルアミンが高い収率で得られた。一電子酸化により生成したナフタレンのラジカルカチオンがピリジンと反応し、さらに一電子酸化および脱プロトン化が進行することにより、ピリジニウムイオンが生成し、それがピペリジンと反応して1-ナフチルアミンが得られたものと推定される。本手法は電子豊富な芳香族化合物に適用可能であり、アニソール、ビフェニル、ジフェニルエーテルから対応する芳香族第一級アミンを得ることができた。またアニソールについて官能基許容性を調べたところ、アルキル、ヨウ素、アミド、エステル、ケトン、ニトロ基等、広範な官能基が許容であった。 芳香族第一級アミンは様々な医薬、天然物、有機機能性材料として使用されており、本手法は、金属化合物や還元剤を用いずに温和な条件で芳香族C-H結合をアミノ基に変換できる優れた方法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、芳香族のラジカルカチオンを効率的に利用して、C-H結合をアミノ基(-NH2)に変換する方法を開拓できた。この反応は合成的に重要であり、遷移金属触媒や化学的酸化剤を用いずにこのような分子変換を達成できたことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度で有用性が確かめられたコンセプトをさらに発展させて、ラジカルカチオンを用いた電解合成法を用いたC-H結合の官能基化反応を開発し、有用な機能や生物活性をもった物質合成に適用していく計画である。
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