2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 康次 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70532696)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミノ化 / 銅触媒 / 触媒的不斉合成 / アルケン / 有機ホウ素化合物 / アルキルアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究一年目では、計画通りに銅触媒を用いたスチレン類のアミノホウ素化反応を達成した。そこで二年目にあたる本年でも当初の計画に沿って、この銅触媒系を基に、スチレン以外のアルケン類に対してアミノホウ素化反応の適用を検討した。その結果、類似の銅触媒がメチレンシクロプロパンならびにビシクロアルケン類のアミノホウ素化反応を効率良く進行させることを見出した。前者では、生成物としてホウ素基を側鎖に有するシクロプロピルアミンを立体選択的に合成することができる。母核であるシクロプロピルアミンは非常に興味ある生理活性を示すことが知られており、本反応の生成物はその誘導体を合成するための有用なビルディングブロックになり得ると考えられる。実際、ホウ素を足掛かりとした酸化、アミノ化、炭素ー炭素結合形成が可能であり、様々なシクロプロピルアミン誘導体を効率良く合成する事に成功した。 一方、後者のビシクロアルケンとの反応においては、光学活性な銅錯体を用いる事で触媒的不斉合成へと展開することができた。この場合、生成物は酸素や窒素といったヘテロ元素を豊富に有する光学活性環状化合物であり、新規な医薬品合成へ向けた有用なビルディングブロックを提供できる。 また、研究一年目に偶然見出した、ヒドロアミノ化反応の研究も順調に進展し、従来系では困難であったビシクロアルケンの不斉ヒドロアミノ化を実現するに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿った形で、アルケンの触媒的アミノホウ素化反応の創出は順調に進展した。加えて、当初予想していなかった不斉ヒドロアミノ化触媒をも見出す事に成功し、こちらの課題も同時に展開することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノホウ素化反応において更なるアルケン基質の適用を検討する中、触媒の支持配位子による位置選択性の制御という非常に興味深い現象を見出すに至っている。残りの期間はこの現象の一般性の確立と、発現機構の解明に向けた研究を行う。ヒドロアミノ化反応においては、生物活性に興味がもたれる分子群の触媒的不斉合成に向けた応用的展開を行う。
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Causes of Carryover |
計画していたアルケンの触媒的アミノホウ素化反応の創出を目指して検討を行う中、偶然にもアルケンの不斉ヒドロアミノ化触媒を見出すに至った。この興味深い触媒に関して更なる知見を得るべく、実験の施行及びデータ解析を行う必要が生じ、当初の予定に遅延が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進行中偶然見出したヒドロアミノ化触媒に関する実験を施行したため、当初計画していた研究に遅延が生じた。従って、未使用額は次年度に触媒的アミノホウ素化反応に関する実験及びデータ解析のための物品費として、一般試薬及びガラス器具の購入費用の充てる予定である。
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Research Products
(8 results)