2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620088
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 誠二郎 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10307712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 全合成 / アコニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、C環およびE環部のスケールアップ合成を行った。両者を立体選択的共役付加反応によって四級炭素を構築しながら接続した。本年度は特にD環の構築について検討した。まず、C環部のケトンの一方のα位からアルキル鎖を伸ばしもう一方のα位との分子内アルドール反応によってD環を構築する方法を検討した。しかしながら、最終段階のアルドール反応は進行しなかった。これは、アルキル鎖の伸張方向の近傍にあるE環の立体障害のためと考えられる。そこで次に接続箇所をずらし、C環ケトンの両方のα位にそれぞれ末端オレフィン鎖を導入し、分子内メタセシス反応によってD環を構築することを計画した。まず、C環の一方のα位に、三級水酸基と二級水酸基を構築しながら末端オレフィンを含むC3ユニットを導入した。さらにもう一方のα位に、アルドール反応、脱水反応、還元的二重結合移動反応を経てビニル基を導入した。これら両側鎖の末端オレフィン同士をメタセシス反応によって接続することにより、D環部の構築に成功した。 一方、A環部の合成においては、昨年度合成に成功したニトロオレフィンを用いてアルデヒドとのカップリングを検討した。このニトロオレフィンは塩基性条件化で不安定であり、容易に二重結合の移動を起こす他、分解しやすいことがわかった。そこで、ルイス酸存在かで行える向山アルドール反応を試みたが、複雑な混合物を与えるのみであった。この結果、ニトロオレフィンを使用することを断念し、新たにカルベンを使うA巻構築法を計画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
A巻を構築する際の鍵となる基質としてのニトロオレフィンが予想以上に不安定であったため、これを使うことを断念せざるを得なくなった。また、CDE環構築においては、D環構築の際に計画していた分子内アルドール反応が進行しなかった。これらの直接的方法がうまく行かなかったため、遅れが生じたが、この程度の困難は想定内であり、CDE環部の合成においてはメタセシスによる環化が進行したことにより、合成にめどがついた。また、A環部の合成においても、カルベンを使うルートを提案し、これが短工程であることから、大きな遅れにはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにCDE環を構築している。今後は、D環およびE環の酸化段階を調整した後、エチルアミンのE環への共役付加とE環とD環の分子内アルドール反応を一挙に行い、B巻を構築する。この合成法により、BCDE環の酸化段階が天然物と同じの化合物を合成する。一方、A環の合成においては、A環の元となる側鎖をE環から伸張してカルベンを使った反応によりAE環を構築する。さらにエチルケトンを反応させることによりF巻を構築し、AEF環部を構築する。これらアコニチンの左右を構築する方法を確立した後、BCDE環化合物にこのAF環合成法を適用し、A環からF環までの6つの環をそろえ、アコニチンの全合成を達成する。
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Causes of Carryover |
試薬代など、実験に伴う消耗品費を支払ったあとに254円が残ったが小額であったため、次年度の消耗品日および雑費に使うためにこれを繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品日および雑費
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] 全合成を短くする2014
Author(s)
細川 誠二郎
Organizer
平成26年度後期(秋季)有機合成化学講習会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2014-11-20 – 2014-11-21
Invited