2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25620088
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 誠二郎 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10307712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 選択的合成 / アコニチン / モーヴァッサン還元 / アルドール反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリカブトの毒成分アコニチンは神経興奮物質として生物学研究で注目を集めている。しかしながらアコニチンは、「有機合成における最後の難問」と呼ばれるほど複雑な構造を有しており、未だに全合成は達成されていないために構造活性相関研究もほとんど行われていない。アコニチンはA環からF環までの7つの環が縮環した化合物であるが、申請者は、ABC環部とCDEF環部とに分けてそれぞれを合成し、主要な部分の合成法を確立するとともに構造活性相関研究を見込んだ合成研究を進めている。CDEF環部の合成については前年度までにC環とE環を構築しているが、本年度はD環の構築に成功した。すなわち、C環部の左右にアルキル基を伸長し、それぞれを末端オレフィンとしたのちにGrubbs触媒を用いて環化し、D環に相当する六員環を構築した。この際、E環の影響を避けるため、強い塩基性条件の回避や伸長するアルキル基の立体選択的導入を実現し、17工程かけてC環部の構築を行った。特にC環左側のアルキル基をかさ高いE環と同じ側から導入することが困難であったが、アルドール反応に続くアリルアルコールの還元を伴う二重結合の異性化(モヴァッサージ還元)によって望みの立体化学を持つ化合物が得られることが分かった。一方、ABC環部の合成においては、C環部を有するアルデヒドとのアルドール反応が低収率であったが、レトロアルドール型の脱ホルミル化反応が起こることが原因となっていることをつきとめ、向山アルドール反応を用いることで中程度の収率で付加体を得ることに成功した。
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Research Products
(1 results)