2013 Fiscal Year Research-status Report
酸を添加しない酸触媒によるグリコシル化 -不可能なオリゴ糖脂質の合成と組織化-
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25620092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正田 晋一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10143364)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オリゴ糖 / 糖脂質 / キトオリゴ糖 / キシログルカンオリゴ糖 / アノマー位 / 脱水縮合剤 / 直接活性化 / トリアジン誘導体 |
Research Abstract |
本研究では、糖脂質の精緻な構造を,無保護の糖から構築する技術の開発を目指した。我々はすでに、水中で糖アノマー位の直接活性化が可能であることを初めて示し、その一例として、トリアジン系脱水縮合剤を用い,水中でオリゴ糖の還元末端を選択的に活性化する手法を見出している。この事実は,トリアジン環上の置換基を自由自在にデザインできることを示すものであった。そこで,発生期のプロトンをトリアジン環上に生じさせることにより,外部から酸を添加せずにアノマー位のみを活性化し、ベンジル基で置換されたトリアジン糖供与体と長鎖アルコールから,水素還元条件下でグリコシル化を進行させることを試みた。 2-アセタミド-2-デオキシ糖を還元末端に有するオリゴ糖原料を対応する多糖バイオマスであるキチンから調製した。グルコースを還元末端に有するオリゴ糖リファイン化原料としてタマリンド由来のキシログルカンを,エンドグルカナーゼで処理することにより,6位が置換されていないグルコースユニットにおいて,位置選択的にグリコシド結合を切断し,オリゴ糖の混合物を調製した。さらに,この混合物にβ-ガラクトシダーゼを作用させ,7糖とした後,イソプリメベロース合成酵素で処理して小糖を得た。それぞれの段階でオリゴ糖の分離を適切なカラムを用いて行い,8種類のリファイン化原料をグラムスケールで調製した。 このようにして得られたオリゴ糖を水中で直接活性中間体へ変換する技術の確立を目指し、考えられる水溶性脱水縮合剤として4,6ジメトキシトリアジン誘導体を設計・合成し,スクリーニングすることにより,オリゴ糖を直接活性化中間体へ変換する反応を開発することができた。また、還元末端にグルコースを有するオリゴ糖に関しては,生成物がより活性なβグリコシド結合を有することから,それらの構造決定と同時に水中での安定性について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において用いるオリゴ糖原料について、実験を進めるのに十分な量を確保することができた。また、オリゴ糖の還元末端のみを、水中において、直接活性化する反応についても、目的とするβ体(2-アセタミド糖の場合はα体)を効率よく調製することができ、さらにそれらの誘導体が比較的安定で取り扱いが容易であることが判明した。以上の理由により、当初の計画に沿って、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により得られたトリアジン誘導体に存在するベンジル基を水素添加により除去することにより、プロトンを系中に発生させることにより、酸を外から添加することなく進行する配糖化反応を初めて実現させ、さらに糖脂質の合成へと展開させていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたキシログルカンからのオリゴ糖調製が予定よりも格段に効率化したため。 キシログルカンオリゴ糖ならびにそれと関連するオリゴ糖であるマルトオリゴ糖の購入にあてる。
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