2014 Fiscal Year Annual Research Report
酸を添加しない酸触媒によるグリコシル化 -不可能なオリゴ糖脂質の合成と組織化-
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25620092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正田 晋一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10143364)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖脂質 / 糖トリアジン誘導体 / 無保護糖 / 選択的アノマー位活性化 / 接触還元 / グリコシル化 / αグリコシド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,糖脂質の精緻な構造を,無保護糖から短いステップで合成する技術の開発を行った。前年度において,糖の4,6,ジベンジルオキシトリアジンが,無保護糖から,水中,一段階で調製可能であることを示し,アルコール存在下,還元的に活性化することにより,外部から酸を添加することなく,対応するグリコシドを好収率で与える方法を開発した。しかし,本反応は,トリアジン供与体を溶解することのできるアルコールには適用可能であるが,溶解性の低い長鎖アルコールへ適応することができなかった。そこで,本年度においては,本反応の脂溶性アルコールへの適用を検討し,トリアジン誘導体のヒドロキシ基をシリル化することにより,基質のアルコールに対する可溶性の向上を目指した。すなわち,無保護糖を一段階で対応する4,6,ジベンジルオキシトリアジン誘導体へと変換した後,残りのヒドロキシ基をすべて対応するトリメチルシリルエーテルへと変換した。これにより,トリアジン誘導体は,各種の有機溶媒あるいは脂溶性のアルコールに可溶となった。このようにして調製したトリメチル保護されたトリアジン誘導体を,脂溶性アルコール存在下,接触還元によりベンジル基の除去を行ったところ,目的とする還元的条件下におけるグリコシル化反応が進行し,糖脂質誘導体が好収率で得られた。最後に,反応系に過剰のメタノールを添加することにより,脱シリル化を経て,最終目的化合物である糖脂質を効率よく合成する新手法を開発した。本手法は,外部から酸を添加することなく進行する全く新しいタイプの糖脂質合成法であり,酸に弱い糖脂質に対しても適用することができた。
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