2014 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマー鎖に沿って物質が輸送される現象の1分子動態イメージング
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25620096
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
篠原 健一 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (10292244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1分子イメージング / 分子モーター / らせん高分子 / 高速AFM / 熱ゆらぎ / 拡散係数 / PIV / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリマー鎖に沿って物質が輸送される現象を1分子可視化計測するための高速原子間力顕微鏡を製作し、ブラウン運動等を測定する方法を開発した(ポリマー用高速AFMシステム:PCT出願特許)。この顕微鏡を用いて、ポリ(置換フェニルアセチレン)のらせん鎖(長鎖)一本に沿って物質(短鎖)が輸送される現象の1分子イメージングと拡散係数の計測等をおこなった。
1)温度制御:上記の物質輸送はn-オクチルベンゼン中、25℃における3 nmステップの歩行現象であった。この温度依存性を評価する目的で、18℃でイメージング実験したところ、長鎖ポリマーのみならず短鎖の運動までも著しく低下した。これは温度低下に伴う運動性の低下と同時にポリマー鎖と基板(APS修飾マイカ)表面の相互作用が強まった結果と考察される。またMD計算で、第三世代力場(COMPASS II)の採用と条件の最適化により、物質輸送を動的分子間咬合で説明するフラッシュラチェット様の分子歩行メカニズムを提案した。 2)溶媒流の可視化:トレーサー粒子としてフラーレン誘導体を添加した観測動画をPIV法で解析した結果、ポリマー鎖の近傍に溶媒流が確認された。溶媒分子にとって巨大な構造体である長鎖ポリマーが障壁となって流れを制御する整流効果と考察された。この溶媒流が物質輸送の駆動源である。 3)物質輸送の制御:分岐構造を有するらせん高分子鎖の1分子イメージングをおこなったところ「C」字形構造が確認され、この構造中に短鎖ポリマーがブラウン運動しながらトラップされる様子が確認された。ポリマー鎖の構造によって物質の動きを制御できることが分かった。また右巻きらせんと左巻きらせんのポリマーの等モル混合物[(+)-体と(-)-体のキラルらせんポリマー]のイメージングにも成功した。 有機溶媒中の分子歩行(分子モーター原理)が実証された。非水溶液系の人工生命機能を創造したい。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Single-Molecule Imaging of a Polymer2015
Author(s)
Ken-ichi Shinohara
Organizer
9th Japanese-French Frontier of Science Symposium (JFFoS), Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)
Place of Presentation
Kyoto Brighton Hotel, Kyoto, Japan
Year and Date
2015-01-22 – 2015-01-26
Invited
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