2015 Fiscal Year Annual Research Report
NCA法に代わるポリアミノ酸合成の革新的プラットホームの開拓
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25620097
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 将人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20179253)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリアミノ酸 / アミノ酸 / 開環重合 / 光反応 / サルコシン / 二硫化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までの研究で、ラジカルの関与した重合が示唆されたサルコシン由来のモノマー(α-アミノ酸-N-ジチオカルボン酸無水物)Sar-NdtCAの光重合について、検討を行った。Sar-NdtCAの紫外吸収スペクトルは、245 nmと276 nmに吸収極大(ε=6700, 9700)を示した。一昨年度、そのエリアに主な発光スペクトルを持つ低圧水銀灯を石英管中のモノマーのアセトニトリル溶液に照射したところ、ポリサルコシンが得られたものの、複雑な末端構造を有していることがマススペクトルから分かった。今回は、300 nm以上に主な発光波長がある高圧水銀灯を用いて光反応を行った(Sar-NdtCAの吸収端に照射)。アセトニトリルとリン酸トリメチル中、石英管とパイレックス管(290 nm(透過率60%)以上の光が透過)を用いて反応を行ったところ、石英管中の方が速く反応が進行したが、複雑な反応結果となった。一方、パイレックス管中では、アセトにトリル中の方が速くモノマーが消費され、8時間で数平均分子量17000(GPC、溶離液DMF、ポリスチレン換算)のポリマーが得られた。このポリマーの1H NMRとマススペクトルからポリサルコシンの構造が確認され、末端構造がメチルアミンあるいはジメチルアミン付加体であることが、マススペクトルから示唆された。これらの末端基は、モノマーへの光照射によって生成したアシルラジカルから一酸化炭素が脱離した後、溶媒等から水素ラジカルを奪うことによって、生成すると予想された。このとき、成長反応に光が必要でない可能性もあるため、15分間光照射した後に反応系を暗所に放置したところゆっくり重合が進行することが観察された。このことから、光は、開始剤として働くアミンの生成に必要なだけで、直接的に成長反応に寄与せず、イオン機構で成長反応が進行したことが考えられた。光照射の時間と生成ポリマーの分子量の関係など更なる検証を行っている。
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Research Products
(2 results)