2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内RNAイメージングのための小分子蛍光プローブの創製
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25620102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 精一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40281969)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | siRNA / 蛍光プローブ / 小分子 / 相互作用 / イメージング |
Research Abstract |
ここ10年程の間に、RNAが関与する新規な生命現象の発見が相次ぎ、RNAはポストゲノム時代の生命科学研究における重要な研究対象となっている。本研究では、細胞内RNA可視化のためのバイオプローブとして、RNA結合性の低分子蛍光プローブを設計・合成、これに基づく細胞内RNAイメージング法の開発を試みる。本年度は、特にsiRNAを標的とする蛍光プローブの開発を重点的に進めた。 siRNAは 約20 塩基対からなる短鎖二重鎖 RNAであり、細胞内へ導入することで遺伝子発現を制御しうる。このため、がんやウイルス感染症に対する画期的な治療薬として注目されており、現在、siRNA機能の向上を目指した研究が活発に行われている。このようなsiRNA医薬の開発研究において、細胞内のsiRNA挙動を分子レベルで解析することは不可欠であるが、専ら共有結合を介した蛍光色素修飾に基づく手法に頼っているため、本来のsiRNA活性・機能を保持したsiRNAの動態評価とは異なってしまうことが問題となる。 本研究では、siRNAに特有な3’末端オーバーハング構造をsiRNA認識のための「マーカー」として着目し、siRNA結合能を有する蛍光プローブを開発した。具体的には、ペプチド核酸を基本骨格としたプローブで、この部位が相補的塩基対を形成することで、オーバーハング構造に可逆的に結合する。さらに蛍光色素としてチアゾールオレンジを連結することで、siRNAとの結合を蛍光シグナル変化として検出することができる。実際、開発したプローブを用いることで、siRNAの細胞内への取り込みやキャリアからの放出といった一連の細胞内デリバリー過程を可視化することに成功した。 本手法では、共有結合による核酸(siRNA)の化学修飾が不要なため、本来のsiRNA活性・機能をより反映した動態解析が可能になるものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、本研究で主要な標的とするsiRNAに対する蛍光プローブ(第1世代)の合成を既に完了するとともに、細胞内におけるsiRNAの可視化に成功している。今後、さらに結合機能(結合力、結合選択性)や膜透過性、蛍光応答特性の改良を進めることで、より定量的な解析や、より多様な細胞内siRNA挙動解析が可能になると期待できる。 以上のように、本研究は、おおむね順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画に従って研究を進める。まず、平成25年度に得た研究成果に基づいて、siRNA検出プローブの機能改良を進める。具体的には、プローブ骨格に正電荷性部位等を導入(連結)することで結合力の強化を図るとともに、蛍光応答特性に関して、より細胞内イメージングに適した2波長検出型(レシオ検出型)への改良を試みる。また、プローブの膜透過性や細胞毒性など、生細胞に適用する際にしばしば問題となる物性に関して、改良すべき課題があれば、速やかにプローブ合成にフィードバックする。 以上のように研究を遂行し、RNA結合性の低分子蛍光プローブに基づく細胞内RNAイメージング法の有用性を実証、新規な分析方法論としての技術基盤の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度申請額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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