2014 Fiscal Year Annual Research Report
新しい時間計測-化学発光反応の創出と小型分析装置の試作
| Project/Area Number |
25620103
|
|---|
| Research Institution | Ibaraki University |
|---|
Principal Investigator |
五十嵐 淑郎 茨城大学, 工学部, 教授 (70150258)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | 時間計測 / 化学発光 / 時計反応 / 自己触媒反応 / iTem-CL / 微量分析 / 簡易分析 / 極限計測 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、反応機構の速度論的解析を行った。自己触媒反応としてコバルトーアゾ色素(PAPS)錯体のコバルト(II)を触媒とする反応系を選んだ。速度式から得られた数値を発光時間-発光強度曲線に変換すると、iTem-CL法が化学発光シグナル強度に依存しない定感度（無限感度）計測系であることが証明された。次に、設備品として購入した微弱発光測定装置を用いると、通常の化学反応（例として、亜硫酸ナトリウム/過酸化水素系）で起こるような単純な酸化還元反応においても、微弱発光のみで、iTem-CL法が適用できることが分かった。この事実から、分析対象物を広範囲に展開できることを示した。小型iTem-CL専用装置の試作については、現有の化学発光測定装置（マイクロテックニチオン製ジーンライトS-200）を用いた場合、装置本体のハード面の改良を行わなくてもiTem-CL法が使用可能であることを明らかとした。根拠は、温度補正計算ソフト、ストップドフロー型インジェクター外部アタッチメントおよび化学発光増感剤の使用などが、小型ジーンライトS-200に加わることでiTem-CL法の改善に有効であることを示した。分析装置としては、既存の装置本体のハード面の改良を行わない方が、既存のシグナル強度分析装置としても互換性があり、有用であるとの判断に至った。特に新しいiTem-CL法と既存のシグナル強度分析法とでは、同類の化学発光系でも、分析対象物に対する特異性と選択性が大きく異なることが特徴であり、両者の利点を共有した装置の存在は重要と考える。さらに、ジーンライトS-200を用いて増感剤の使用によって改良したiTem-CL法は、臨床分析（点滴剤中のマルトースの成分分析）や環境分析（河川水中のRu(III)分析）に対する簡便な分析法となることが実証され、今後の広範囲な実用的応用への展開が期待される。
|
