2014 Fiscal Year Annual Research Report
カーボン材料による内壁コート型分離カラムの開発と分離特性評価
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25620111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 拓也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20374994)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロマトグラフィー / フラーレン / πスタッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ炭素材料と特異的な反応性を示すPerfluorophenyl azide (PFPA) を用いて,フラーレンを固定化した新規分離場の開発とその分離特性評価を目的として研究を実施した。昨年度に得られた成果をさらに発展させ,カラム内に固定化されるフラーレンの絶対量を向上させることで,特異な分離特性を有する分離場の創成を目指した。 最終年度の成果として,三次元網目構造を有する多孔性材料であるシリカモノリスを中空キャピラリー内で作製した上で,そのモノリスの細孔表面にPFPAを介してフラーレンを高密度で固定化することに成功し,また,πスタッキングをともなう特異的な分離を確認した。多くのπ電子を含む多環式芳香族炭化水素 (PAH) に対して,非常に高い保持能が確認され,現在市販されているいずれの分離カラムよりも保持選択性に優れた分離場の創成に成功した。さらに,フラーレンの球面構造に起因する選択的な保持の発現に関する知見を見いだした。通常,πスタッキングに優れたカラムの場合には,平面構造のコロネンと球面構造を有するコランニュレンの分離では,コロネンに対する保持が有利であるが,本研究で得られたカラムでは,コランニュレンに対する保持が著しく増加し,球面構造を特異的に保持するきわめて珍しい現象を発見した。これらの成果は,当初の研究計画よりも相当進行しており,今後,新規な分離カラムとしての実用化が期待できる。
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