2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25620116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 明 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (90222231)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多次元相関分光法 / X線吸収 / 深紫外可視吸収 / スペクトル分析 / 鉄触媒 / 金属錯体 / 溶液 / シンクロトロン光 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属錯体の中心金属の価数と配位構造は、触媒化学、光化学、生化学における反応生成物の選択性、収率に大きく影響するため、反応中における構造変化・価数変化は非常に重要な情報である。近年、シンクロトロン光を利用したX線吸収分光法の進歩により、反応のその場で金属錯体の構造を解析することが可能となっている。しかしながら、シンクロトロン光施設の利用は時間的制約や実験環境的制約が大きく、実験室で行う反応系のその場観察への適用には困難が伴う。そこで本研究は、X線吸収・紫外可視吸収相関分光法を新規に開発し、紫外可視吸収スペクトルから得る情報を最大化する。この手法により、紫外可視吸収スペクトルデータからX線吸収分光法により得られる価数/構造データを推定するシステムを構築し、従来は困難であった反応中の価数、配位構造の変化等を、紫外可視吸収スペクトルによりその場解析するシステムを実現する。 3年計画の第2年度に当たる本年度は、昨年度開発した測定系に改良を加えつつ、SAGA-LSでの測定および解析を進めた。測定系では、特に、温度依存測定を可能とし、X線吸収(XAFS。吸収端および広域)と紫外可視吸収の両スペクトルの同時測定を進めた。解析では、X線吸収端構造と紫外可視スペクトルとの相関、動径構造関数と紫外可視スペクトルとの相関の取得に成功した。 なお、SAGA-LSでの蛍光XAFS測定結果は、同条件、Spring8での透過XAFS測定結果と対比して検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、測定計を完成し、X線吸収・紫外可視吸収相関スペクトルデータを集積している。得られたデータについては、吸収端領域および広域の両方について、紫外可視吸収との2次元相関スペクトルの取得に成功した。紫外可視領域に現れる吸収帯の錯体構造/価数への帰属、また逆にX線吸収で現れる配位構造への特定の発色団への帰属の明確化を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初計画の通りに研究を進める。構造のよく知られた系の解析だけではなく、未知の反応系についても本測定の適用を試みる。具体的には、イオン液体中におけるポルフィリン分子の高効率光触媒反応の解析応用を狙う。
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