2013 Fiscal Year Research-status Report
10BASEd-T法による疾患蛋白質分解触媒の開発
Project/Area Number |
25620127
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
瀧 真清 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70362952)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 10BASEd-T / ファージディスプレイ / ファーマコフォア / サリチル酸 / ライブラリー / 人工分子進化 / T7ファージ |
Research Abstract |
タウ蛋白質を特異的に切断させる実験に先立ち、モデル蛋白質としてストレプトアビジンを用い、これを特異的に切断する触媒の探索を試みた。はじめに、既に作製されているT7ファージライブラリーに対し、10BASEd-T修飾法にてサリチル酸骨格を持つ分子を結合させ、人工ファージライブラリーとした。その際、モデルファージを用いて10BASEd-T法によるサリチル酸修飾が特異的に進むことを確認し、査読付き紀要(Pept.Sci.)等に発表を行った。作製したファージライブラリーを、ストレプトアビジン固定化ビーズに対して作用させ、種々の条件にてセレクション/切断実験を行った。具体例としては、提示ペプチド内にサリチル酸を複数個持つ人工ファージライブラリーを作製し、これに亜鉛イオン(Zn2+)等を配位させたものを用いて、セレクションを試みるなどした。この場合、サリチル酸は2 価金属配位子として働き、金属部分(M2+)が触媒中心となるので、サリチル酸単独であるときとは異なる反応機構での標的蛋白質の切断(J. Sue, Acc. Chem. Res., 36, 562 (2003))を期待した。現在までに予期していた活性を有するクローンの取得には至っていないが、一連の過程において、サリチル酸骨格自体がストレプトアビジンに対して特異的に結合しうるファーマコフォアの一部になりうることを見いだし、10BASEd-T修飾法を用いた人工ファーマコフォアライブラリー作製のコンセプトおよび実施例を総合論文としてまとめ、Molecules誌(スイス有機化学誌)等に発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一年目に予定していた、目的蛋白質を「切断」する触媒を得るには至っていないことを考慮した区分とした。10BASEd-T反応の詳細な解析(確立)およびサリチル酸を持つ人工分子ライブラリーの作製、および、T7ファージ上での詳細な同定、さらに本ライブラリーの中から目的蛋白質に特異的に「結合」する人工分子の探索(取得)および論文発表には至っているので併せて考慮し、区分2と4との中間とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
目的蛋白質に結合しても、化学反応を触媒することが困難な理由として、骨格中心の人工分子(サリチル酸)が不適切なこと、および、ランダムペプチド部分が短すぎて反応場を形成しないこと、の両方を疑っている。前者は適切な触媒中心を有機化学的に合成しなおすことで、後者は適切な反応場を形成しうる3D構造を持つランダムペプチドライブラリーを再作製することでそれぞれ解決可能と考え、予備的な実験を開始している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初ファージディスプレイ法における、スクリーニング作業の更なる高効率化ため、バイオスクリーニング作業の更なる高効率化ため、バイオスクリーニングシステム(TargetAngler8・多摩川精機製)を初年度に1システム新たに導入して更なる自動化をはかる予定であったが、翌年度に必要な各種試薬代・出張費・論文出版費等の経費が嵩み、財政的に非常に厳しくなると判断し、これを見送り、手作業および現有装置にて行うことに切り替えたため。 上記記述を行ったように、各種試薬代(消耗品)・出張費・論文出版費等の経費としてこれを充てんし、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用を行う予定である。
|