2013 Fiscal Year Research-status Report
非天然型活性中心を導入したRNA-ペプチド複合体による協同的触媒機能の発現
Project/Area Number |
25620131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森井 孝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90222348)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 基礎結合場 / 分子認識能 / RNA-ペプチド複合体 / 協同的 / 反応モジュール |
Research Abstract |
本研究はRNAにより形成した高い分子認識能を持つ基質結合部位と、ペプチドに導入した非天然の反応活性中心が協同的に作用するようにRNA-ペプチド複合体構造を最適化することにより、「非天然型活性中心を導入したRNA-ペプチド複合体による協同的触媒機能の発現」を実証、その設計原理を開拓する。 申請者らが開発したATP結合性RNPは、そのRNA中でU:A:Uトリプレットを形成してアデノシン(Ado)部位を認識するが、ピロリン酸部位は認識しない。この分子認識の特長を活かして、ATP結合性RNPのペプチドサブユニットに反応モジュールを導入したRNP酵素を構築する方法論を検証した。 (1)活性中心を導入したペプチドライブラリーの合成:加水分解反応の活性点ジメチルアミノピリジン(DMAP)を種々のリンカーを介してN末端に導入したRevペプチド誘導体を合成し、それらとAdo結合性RNAサブユニット群からAdoに結合するRNPライブラリーを形成した。 (2)活性を指標としたライブラリースクリーニング:DMAPを種々のリンサーを介してN末端に導入したRevペプチドとAdo結合性を有するRNAライブラリーからRNPライブラリーを形成し、分光学的に加水分解反応の評価が容易なアデノシン骨格を有するp-ニトロフェニルエステルの加水分解能を指標にして、ライブラリーを構成するRNPのエステル加水分解能を評価した。 RNPを用いた酵素作製法が実現可能かどうかを調べるため、ATP結合性RNPリセプターのペプチドに、非天然型活性中心としてエステルへの求核攻撃により加水分解を促進するDMAPを導入したRNPを作製し、加水分解活性を評価した。その結果、DMAP単独よりも、DMAP修飾RNPの方が反応を加速させるRNPが存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、非天然型活性中心を導入したRNA-ペプチド複合体による協同的触媒機能の発現に関して、既に活性を指標としたスクリーニング系を構築し、実際のスクリーニングをおこなうことで、エステル加水分解能を有するRNA-ペプチド複合体を獲得できている。現在さらにライブラリーの多様性を広げて、より高活性なRNA-ペプチド複合体の獲得を目指して研究を展開しているところである。以上のように、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
活性を指標としたRNPライブラリーからのRNP酵素の選出 (1)エステル活性の高いRNPを得るためにp-ニトロフェニルエステルを含むアデノシン誘導体の加水分解触媒活性を指標としたスクリーニングを行う。活性中心として亜鉛イオン錯体を導入したRevペプチドライブラリーとして、配位子サイクライムをN末端にリンカーを介して導入したRevペプチドを合成する。ATP結合性RNPを構成するRNA群と、合成したペプチドにより反応モジュールを持つRNPライブラリーを構築、前年度に評価したp-ニトロフェニルエステルを含むアデノシン誘導体を基質としてエステル加水分解活性を評価する。 (2)ATPピロリン酸結合の加水分解活性を有するRNPを得るため、ATPのγ位から固定化した樹脂とRNPライブラリーを混合し、結合しないRNPを洗浄後、Zn2+を加えてピロリン酸の加水分解とともに樹脂から遊離するRNPを選出する。 合成配位子をペプチドサブユニットに導入したRNPライブラリーを用いたSELEX (1)RNP酵素を得る別の経路として、エステル加水分解反応の遷移状態アナログを合成し、RNPライブラリーに対するSELEXにより触媒機能を持つRNPを得る方法論も検討する。 (2)Diels-Alder反応を触媒するRNPを構築する。パラジウム-エチレンジアミン錯体および白金-エチレンジアミン錯体をN末端に導入したRevペプチドを合成する。ナフトキノン誘導体に結合するRNPをSELEX法により選出し、そのRNAサブユニット群と合成したペプチドにより、反応モジュールを持つRNPライブラリーを構築する。水溶液中にナフトキノン誘導体を存在させ、基質のX位から固定化した樹脂を共存下、異種分子間Diels-Alder反応により樹脂に結合するRNPを選出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、(1)活性中心を導入したペプチドライブラリーの合成と(2)活性を指標としたライブラリースクリーニングをアデノシン骨格を有するパラニトロフェーノルエステルの加水分解能を指標にして、ライブラリーを構成するRNPのエステル加水分解能を評価した。 ライブラリー活性評価の基質として、分光学的に加水分解反応の評価が容易なp-ニトロフェニルエステルを含むアデノシン誘導体を用いた。その結果、DMAP単独よりも、DMAP修飾RNPの方が反応を加速させるRNPが存在したが、スクリーニング条件の最適化に時間を要したため、DMAPおよび他の活性中心を種々のリンカーを介してN末端に導入したRevペプチドライブラリーが部分的にしか作成できなかった。そのため、一部の予算を次年度使用額として平成26年度のペプチドライブラリー作製費用に充てた。 p-ニトロフェニルエステルを含むアデノシン誘導体を用いたスクリーニング条件が最適化されたため、当初平成25年度に使用予定であった1,321,090円を次年度使用額としてペプチド合成試薬とペプチド精製カラムを購入し、DMAPおよび他の活性中心を種々のリンカーを介してN末端に導入したRevペプチドライブラリーの合成を完成させる。その他は当初の計画通り遂行する。
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[Journal Article] Genetically encoded fluorescent thermo-sensors for visualizing subcellular thermoregulation in living cells.2013
Author(s)
Kiyonaka, S., Kajimoto, T., Sakaguchi, R., Shinmi, D., Omatsu-Kanbe, M., Matsuura, H., Imamura, H., Yoshizaki, T., Hamachi, I., Morii, T., Mori, Y.
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Journal Title
Nat. Methods
Volume: 10
Pages: 1232-1238
DOI
Peer Reviewed
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