2013 Fiscal Year Research-status Report
RNAループ特異的に構造変化を示す分子機構の解明とDicer切断の阻害効果実証
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25620134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 和彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70237303)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 低分子 / Dicer / 構造変化 |
Research Abstract |
miRNA 前駆体(pre-miRNA)のループ領域がDicer 切断反応に大きく影響するという研究を 受け、ループ領域にに結合する小分子でmiRNA 生成の制御が可能となるという発想に至った。 本申請では、予備検討期間のH24 年度に発見した「RNA ループ領域に結合して大きく構造を変化させる分子」に関する研究成果を踏まえ、1)NMR スペクトルを用いたRNA 構造特異的な構造変化の分子機構解明、2)premicroRNAループ領域への結合による成熟miRNA 生成抑制を検討した。今回の研究では新たに設計合成したクマリン3位にとアミノナフチリジンが7位で結合した構造を持つ化合物TT7を用いて、RNAとの相互作用による構造変化を光学スペクトルにより、まず確認した。その結果、TT7はRNA存在下で分子内電荷移動錯体形成が促進され、吸収スペクトルが大幅に長波長シフトすることが判った。また、TT7の構造変化がRNAの構造に依存していることを、異なる二次構造を持つRNAを用いたスペクトル変化の観察実験から明らかにした。一方、構造変化をRNAとの複合体中NMRで確認することを目指して、13Cで標識されたTT7も合成した。実際に13C標識TT7は、RNAの存在しない条件ではそのs-transからs-cisへの構造変化がNMRで確認されたが、RNA複合体中では複雑なシグナルのため13Cを指標としても観測すべきシグナルの同定が困難であった。13Cのシグナルから観測すべきプロトンをC-H COSYで同定出来ると期待したが、複合体構造が電荷移動錯体を含むためかシグナルがブロード化して十分に分解能の高いスペクトルを得ることができなかった。更なる条件検討が必要であることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度前半に計画していたTT7とRNAの結合状態が予想外に複雑であり、解析に時間を取られたため、年度後半に予定していた酵素Dicerによる切断反応の抑制効果の検討開始が遅れた。また、放射性同位元素により標識されたRNAを調製するために、年度前半から放射性同位元素センターでの実験室立ち上げを進めてきたが、こちらについても予想外に時間が掛かり、平成26年に入りようやく実験をスタート出来る環境となった。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたDicerによる切断実験を含めたpre-miRNAとの相互作用評価に遅れが生じ、平成26年度への補助事業期間の延長を申請し、認められている。現在放射性同位元素で標識下microRNAとの結合によるDicer切断活性阻害効果の検証実験を実施すると同時に、表面プラズモン共鳴センサーを用いた結合解析を並行して進め、これらの結果を総合して、RNAへの結合による構造変化の重要性を議論し、次世代のRNA結合分子の設計に活かせる分子設計指針の導出に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TT7とRNAの結合状態が予想外に複雑であり、解析に時間を取られた。そのため、酵素Dicerによる切断反応の抑制効果の検討開始が遅れた。また、放射性同位元素センターでの実験室立ち上げについても予想外に時間が掛かった。 DNA、RNAの委託合成 500,000円、RNA放射標識試薬 800,000円、有機合成試薬 500,000円、成果発表旅費 300,000円 に使用する。
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