2013 Fiscal Year Research-status Report
単分子エレクトロニクスへの応用を指向した導電性DNAワイヤーの開発
Project/Area Number |
25620136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山名 一成 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70192408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNA / 機能性色素 / 分子ワイヤー |
Research Abstract |
配列プログラムを通じた構造構築のためのビルディングブロックとしての性質を持つDNAは、ナノテクノロジー分野における分子デバイス材料として期待されている。本研究では、化学合成で得られる長さと配列が決まったDNAをテンプレートに用い、酵素反応によって目的DNAの増幅および分子結合部位の導入を行い、DNA上への機能分子の集積・配列を通じて導電性を示すDNA分子ワイヤーの作製を行った。デオキシウリジンを含むDNAを用い、ウラシルを選択的に除去するウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)で処理することで、疎水分子の結合部位と反応サイトを形成させ、還元的アミノ化反応によって分子を特異的に修飾する反応を検討した。アミノ基を有する水溶性ペリレンジイミド誘導体とUDG処理後のDNAを混合し、還元剤NaBH3CN存在下、還元的アミノ化反応を行うと、酵素反応部位に特異的にペリレンジイミドが導入されることがわかった。デオキシウリジンを連続して有するDNAをテンプレートとして反応を行うと、デオキシウリジンの数に応じてペリレンジイミドが複数導入されることが分かり、デオキシウリジンの配列に応じて機能性色素であるペリレンジイミド誘導体をDNA上に配列させることが可能であることが実証された。この手法によって作製されたDNA複合体において、各種分光測定から、ペリレンジイミドはお互いにスタックした積層構造体をDNA内部で形成することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究から、ストラテジー通りに目的分子を位置特異的に共有結合によって導入できることがHPLCによる反応追跡、生成物の質量分析測定から示された。反応収率に関して、一つの分子を導入する場合は90%以上であり、分子を二つ、三つと導入する場合でも、高い収率で反応が進行することを確かめた。したがって、DNA配列に組み込んだデオキシウリジンの配列に基づいて機能性色素ペリレンジイミドを組み込むことが可能であることが実証された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、ポリメラーゼ反応によってデオキシウリジンを組み込んだDNAをテンプレートとした反応系を確立し、より多数の機能性色素を導入した構造体を構築することを行う。また、電極基盤上に固定し複合体の電気化学特性を評価する予定である。また、多様な応用性を実証するために、ペリレンジイミド以外の機能性色素分子の導入ができるかどうかを検討するとともに、反応性の向上を目指した反応条件の検討を進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通りに使用したが、当初計画の試薬等の購入が不要になったため次年度に実施予定の実験に使用することになった。 次年度の予算と合わせて、実験に必要な試薬の購入に使用する。
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Research Products
(4 results)