2015 Fiscal Year Annual Research Report
桜島火山降灰を自由対流圏におけるエアロゾル捕集材として用いる大気汚染物質調査
Project/Area Number |
25620143
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大木 章 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (20127989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 常憲 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70284908)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 火山降灰 / 桜島 / 大気汚染物質 / 多環芳香族炭化水素 / 水銀 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度までの研究成果において、ジクロロエタンを用いるソックスレー抽出とHPLC-蛍光検出器(FLD)を用いて、火山降灰中に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)を分析する方法を確立した。試料中へのPAHスパイク実験によって、降灰中に含まれるレベルのPAH類を満足できる回収率(>75%)で回収できることを確認した。 桜島が噴火したときに噴出した火山灰を降下直後に採取し、噴火時期および採取場所の異なる5種の降灰試料について、上述の手法によりPAH分析を行った。fluoranthene、pyrene、benzo[a]pyreneなどの4-6環PAH10種の合計濃度が、1.6-5.1 ng/gであった。降灰試料をふるい法により分級し、各画分のPAH濃度を測定すると、微粒分ほどPAH濃度が高かった。降下後数ヶ月間建物屋上に放置された降灰についてもPAH分析を行ったが、合計PAH濃度が4 ng/g程度であり、降下直後の場合と大きな違いはなかった。桜島の噴煙は噴火時に2-3 km上空まで到達しており、火山灰は上昇および降下時に、自由対流圏を含む大気中のエアロゾル粒子を捕集した結果、PAHを吸着したと考えられる。 降灰試料の元素分析も行ったが、採取時期および場所に関わらず。主要元素および微量元素(水銀以外)濃度はほぼ一定であった。しかしながら、降灰中の水銀濃度は大きく異なり、降灰量の多い場合に濃度が低くなる傾向があった。また、水銀需要が現在よりもはるかに大きかった1980年代に採取した降灰の水銀濃度はかなり高かった。 火山降灰は、自由対流圏を含む大気中のエアロゾル捕集材として機能し、大気汚染物質(PAH、水銀)を吸着していることが明かとなり、エアロゾル成分の年次変動を反映することがわかった。しかしながら、これらの成分において、越境汚染の割合を特定するまでには至らなかった。
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Research Products
(3 results)