2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト転換法による耐酸性8員環ゼオライト膜の開発
Project/Area Number |
25620151
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐野 庸治 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80251974)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゼオライト / 水熱合成 / 構造規定剤 / ゼオライト転換 / ゼオライト膜 / 浸透気化分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の製造業全体から排出される二酸化炭素の約8%は,多くの熱エネルギーを必要とする化学工業の蒸留プロセスに由来する。化学プラントにおける蒸留による液相系混合物の分離・精製技術は、化学産業の二酸化炭素排出量の約40%を占めるエネルギー多消費型プロセスであり、蒸留を他の省エネルギー型プロセスで置き換えることができれば二酸化炭素排出削減に大きく貢献する。そのため、省エネルギー型の蒸留代替技術である膜分離法への適用を目指したゼオライト膜の開発研究が活発に行われている。 最終年度では、筆者らの開発した既存のゼオライトを出発原料に用いて目的のゼオライトを合成するゼオライト転換法を適用することにより、高選択・高透過流束・高耐酸性を兼ね備えた画期的な高シリカCHA型ゼオライト膜の調製に成功した。水/酢酸系の浸透気化分離において、本CHA型ゼオライト膜は従来法のものに比べ高い耐酸性を有しており、透過流速および透過液中の酢酸濃度は、1700時間の長期耐久試験後においてもそれぞれ8 kg m-2 h-1および0.05 WT%以下であった。これらの値は、現在実用化されているLTA型ゼオライト膜と同等の値であり、実用化レベルの安定した分離性能を有していることが分かった。この高耐酸性は、ゼオライト結晶中の格子欠陥量が制御されてことに起因することも明らかにした。なお、現時点ではゼオライト膜の製膜に1週間の結晶化時間を要しており、今後はその製膜時間をいかに短縮できるかが工業化の大きな課題である。
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