2014 Fiscal Year Research-status Report
有機無機ハイブリットプロセスによる高輝度白色発光材料の開発
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25620164
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荻 崇 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30508809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 喜久夫 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00101197)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レアアースフリー蛍光体 / 有機無機ハイブリットプロセス / 酸窒化物 / 白色LED / 機能性微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのBCNO蛍光体は粉末状のものだけであり、もし液状で発光するBCNO蛍光体の合成が可能になれば、ハンドリングが容易となりコーティングやポリマーとの混合など応用の範疇を広げることができる。以上の背景より平成26年度は、オートクレーブを用いた水熱合成法により液状で発光する高効率のBCNO蛍光体の合成について検討した。実験は超純水にホウ酸、尿素と炭素源(クエン酸など)を加え原料溶液を調製し、オートクレーブを用いて170度で60-120分加熱し合成を行った。その結果、世界で初めて水熱合成法を用いてBCNO成分から構成される液状発光材料の合成に成功した。NMR、FTIR、XPSなどの分析より、発光物質はクエン酸アミドの会合体または縮合体であり、アミド結合を介することで量子収率が向上することが明らかとなった(アミド結合を持たない場合の約40倍)。また、ホウ酸の最適な添加によっても量子収率が向上することが分かった(無添加の場合の1.4倍)。さらに、溶媒に有機溶剤を用いた場合にも発光することが明らかとなり、極性の高い溶媒ほど水素結合を形成して発光物質を束縛することで発光強度が高くなることが分かった。また、モノマーと混合して重合することで、発光ポリマーの合成に成功した。合成した発光ポリマーは優れた紫外線吸収機能を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、水熱合成法による合成を行ったところ、ナノサイズで非常に分散したBCNO蛍光体粒子の合成が可能となった、合成した液状の発光材料は、ポリマーとの均一混合、フィルターへの塗布などが可能であり非常に興味深い結果が得られた。これにより、BCNO粉末の分散、構造化の問題を解決する見込みが生じ、おおむね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、ポリマーとのコンポジット化が可能なコロイド状のBCNO蛍光体に着目し、1)コロイドBCNO蛍光体の発光機構の解明、2) コロイド状のBCNO蛍光体の発光色制御、2) コロイド状BCNO蛍光体のポリマーとのコンポジット化と発光特性評価について検討する。1)については、合成したサンプルのNMR、XPS、FTIR、TEMなどを用いて生成粒子のサイズ、分子構造を明らかにする。2)クエン酸以外のカーボン源を用いて発光色の制御を行い、3)については各種の水溶性ポリマーと混合することで有機無機ハイブリット発光ポリマーを開発する。また、可能であれば大型放射光施設(SPring8)の軟X線吸収分光測定(XAFS)などによる蛍光体の電子状態の解析をはじめとする各種物性情報から、原子構造および結晶構造のモデルを立てる。蓄積した各種条件下での蛍光体の物理的、化学的物性と発光特性の相関性を総合的に分析し発光機構を明らかにする。また同時に蛍光寿命を調査する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に研究がおおむね良好に進展したため、合成したレアアースフリー蛍光体粒子をポリマーと混合するための装置部品関連を購入するためである。また、蛍光寿命などの依頼分析と旅費については、当初の予定よりも今年度に重点的に行う予定になったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、BCNO蛍光体粒子合成とポリマーコンポジットの薄膜作製装置の購入に関する経費を必要とする。また、本研究課題の最終年度として学会等での報告のために旅費として執行する。謝金は、大学院生に依頼する計測、特性評価、データ整理、報告書作成対して支払う。他に合成した蛍光体粒子の委託分析費、研究論文発表のための投稿料、本研究課題の報告書作製費用として使用する。
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Research Products
(8 results)