2013 Fiscal Year Research-status Report
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25620165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90186304)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強誘電性 / イオン液体 / ディープ共融液体 / ヒステリシス |
Research Abstract |
本研究は従来固体(金属酸化物、無機結晶,高分子)においてのみ得られる強誘電性を、イオン液体を基盤とするソフトマテリアルにおいて実現するための新しい方法論を開拓することを目的とする。具体的には,構造制御された固―液界面において、大きな双極子モーメントを有するイオン液体やディープ共融液体(DES, deep eutectic solvent)に交流電場を印加し、これら液体分子に巨視的な配向を誘起するための条件(分子設計、ならびに交流電場の強度,周波数,温度など)を明らかにする。 本年度は、種々のイオン液体ならびにディープ共融液体(DES)について、その誘電特性を系統的に調査した。その結果、芳香族アニオンを有するイオン液体において、強誘電ヒステリシスを与えることを見いだした。このヒステリシスは、印加電場を切っても20分間程度は保たれ、イオン液体分子が電極間に誘電配向し、さらにその分子配向が長時間保たれることを意味する。また、シアニン色素をこのイオン液体にドープし、電場印可に伴う蛍光スペクトル特性の変化について検討した。その結果、シアニン色素は電極近傍により分布しやすいこと、また、電場印可にともなうイオン液体分子の配向変化と同期してシアニン色素の分子配向が変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々なイオン液体を系統的にスクリーニングした結果、数種のイオン液体が強誘電ヒステリシスを示すことを見いだした。イオン液体分子の分子配向が、電場により変化することをシアニン色素をプローブとする蛍光測定から明らかにした。以上より、液体強誘電体の概念が正しいことを実証でき、研究計画は順調にスタートできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これら液体の構成成分を重合することにより、巨視的な構造異方性(自発分極)を有する新しいタイプの強誘電性ソフトマテリアルを得る。また、機能性コンポーネントを導入した新しいディープ共融液体(DES)を開発し、その融点制御にもとづく強誘電制御についても検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は 数種のイオン液体が強誘電ヒステリシスを示すことを見い出すことを目的として必要となるであろう実験器具等を交付申請の際に記載した。しかしながら実際には実験手順の工夫により試薬・消耗品費等大幅に抑えられた。 また、当初予定よりも出張が少なかったことも一因であると考えられる。 来年度は 様々なイオン液体の構成成分を重合することにより、巨視的な構造異方性(自発分極)を有する新しいタイプの強誘電性ソフトマテリアルを得る。そのため必要となる試薬・および測定にかかる消耗品 ならびに成果発表するための旅費として有効に使用する予定である。
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