2014 Fiscal Year Research-status Report
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25620167
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
寺崎 正 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 主任研究員 (00399510)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機応力発光センサ / 金属有機フレームワーク / 圧電性高分子 / 発光中心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の狙いは、世界初の有機応力発光センサを創出することである。現在、応力発光体は【弾性変形程度の力学刺激に応じて繰り返し発光するセラミック無機粒子】と定義されている。有機応力発光体実現の方法は、高輝度無機応力発光体の発光原理を抽出し、有機材料に転写することである。即ち、①“準安定状態にトラップされたキャリアの力学刺激による解放と再結合による発光” 、②“圧電性を介して発生する局所電場による電界発光”を有機材料を用いて実現する事である。実現に向けて、有機分子を使った構成する機能要素・コンポーネント・空間の設計(課題【1】、【2】)、繰り返し性・視認性・定量性(ひずみ―発光強度・色)の観点からの応力発光評価(課題【3】)が全体の基本計画である。平成26年度では、その計画に従い下記の成果を挙げ、本来の計画を達成した。 【1】金属有機フレームワーク(MOF)構造によるML空間の創出 発光中心(Eu3+)を賦活したMOF(DMBDC:ML空間)に関して、蛍光分光計測を行った。その結果、導入した発光中心由来の発光(633nm)を確認し、発光中心の賦活に成功した。 【2】分子圧電場での電界発光による応力発光の創出 25年度にスクリーニングを行った基本構造、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)-疎水性粘土ナノシートに関して、高輝度EL性発光色素(Ir(ppy)3)を初めとする各種賦活処理に対する性能評価を行った。各種ドーパント賦活にも関わらず、X線構造解析の結果として圧電性を示すβ体の分子配向を保つ事、更に印加圧力に応じた圧電性能の発現(d33計測等)に成功した。また蛍光特性評価の結果、ナノクレイにより制御された空間においても、色素の発光状態が保持されることを確認した。本知見は、分子圧電場での電界発光による応力発光を発現させる場として有用なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度計画の趣旨は、前年度スクリーニングした有機応力発光場の候補に対して発光中心、かつ賦活剤を導入し、性能評価、知見の蓄積を行う事である。本研究では上述の通り2つの方法論を取っており、共に26年度計画である基本構造中・発光場の構築を達成した。 【1】Eu3+賦活MOF(DMBDC:ML空間)の発光特性発現に成功 【2】圧電場(PVDFと粘土ナノシートのβ配向体)、ならびに発光性能を保持した賦活処理に成功。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、26年度計画の進捗は概ね順調である。そこで、計画書に記載されている各計画に従って、検討を行う予定である。具体的には下記の通りである。 【1】金属有機フレームワーク(MOF)構造によるML空間の創出 前年度、知見を蓄えた試料群を中心に、応力発光特性評価(ML評価)を行う。更にフレームワーク構造の最適化(電子状態制御、空間対称制御型分子の使用)、他金属(ML性金属: Ce3+, Pr3+, Tm3+, Tb3+, Mn2+ etc.)への展開を経て、ML空間の創出を達成する。 【2】分子圧電場での電界発光による応力発光の創出 基本圧電場(PVDF-粘度複合体)に対して、各種EL性発光色素(Alq3, CBP, DCM等)を賦活し、ML発光性能評価を行う。 【3】センサ特性 繰返し性・視認性・定量性(歪―ML強度)より評価する。
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Causes of Carryover |
本研究費の最大支出先は主に薬品類である。内訳は、発光性金属、有機EL用発光性色素など高額薬品である。これら薬品に関して一部譲渡を受けて出費が抑えられた事、更にテクニカルスタッフの適任者を採用できなかった事から、その分の額が繰り越されている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記テクニカルスタッフに関しては2015年3月に面接、採用を終了している。27年度開始と同時に、計画に沿って、下記の遂行に取り掛かる事で全て使用できる。 【1】フレームワーク構造の最適化(電子状態制御、空間対称制御型分子の使用)、他金属(ML性金属: Ce3+, Pr3+, Tm3+, Tb3+, Mn2+ etc.)への展開、【2】基本圧電場(PVDF-粘度複合体)への各種EL性発光色素(Alq3, CBP, DCM等)賦活を開始している。【3】センサ特性 繰返し性・視認性・定量性(歪―ML強度)評価。
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Research Products
(5 results)