2014 Fiscal Year Research-status Report
超高分子量バイオポリエステルの生合成と超延伸による高強度・高弾性率繊維の開発
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25620168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 忠久 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30281661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柘植 丈治 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70332260)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマス / 生合成 / 超高分子量 / バイオポリエステル / 繊維 / 溶融紡糸 / 強度 / 延伸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遺伝子組み換え大腸菌を用いて、糖から重量平均分子量500万以上の超高分子量バイオポリエステルを効率的に生合成する技術の開発を行うと共に、新規な溶融紡糸法および超延伸法を開発し、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの石油合成高分子でも達成できていない、破壊強度2GPa(ギガパスカル)、弾性率25GPa以上の高強度・高弾性率繊維をバイオベースプラスチックから作製する技術の開発を行う。さらに、大型放射光(SPring-8)のマイクロビームX線回折、広角・小角X線同時回折、超小角X線回折、時分割X線回折などを用いて、高強度・高弾性率化の要因を分子レベルで解明し、更なる高性能化に向けた材料設計の指針を策定することを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続き、超高分子量バイオポリエステルの培養条件をさらに検討するにより、目的とした重量分子量500万以上の超高分子量バイオポリエステルの生合成に成功すると共に、菌体内から分子量低下を生じずに抽出する方法(撹拌条件、フィルターの選択など)を確立し、超高分子量バイオポリエステルを効率よく獲得することに成功した。また、溶融紡糸も実際に行い、紡糸条件(溶融温度、押出速度、巻取速度、ダイの直径)の精査、新たな延伸方法(冷延伸法、多段延伸法、中間熱処理法)の開発、熱処理条件の検討、物性測定などを行い、高強度繊維化に向けた研究にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1)超高分子量バイオポリエステルの生合成、(2)分子量低下を起こさない方法によるポリマー抽出法の確立、(3)溶融紡糸法および延伸法の開発により構成されている。現在、超高分子量バイオポリエステルを効率的に生合成および抽出する手法の確立に成功していることから、計画通りに順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
超高分子量バイオポリエステルに特化した溶融紡糸法、延伸法を確立し、高強度・高弾性率繊維化を検討する。当研究室で設計した特注の溶融紡糸装置を用い、冷延伸・二段階延伸法などを用いて高強度繊維化を図る。
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Causes of Carryover |
超高分子量バイオポリエステルを用いて実際に溶融紡糸を行ったところ、予想していたより溶融粘度が高くないことが判明した。つまり、溶融過程で予想以上に早く熱分解が生じていることが分かった。そこで、熱分解を止めるために分子鎖の末端を化学修飾する方法を新たに検討する必要が生じたため、研究計画の若干の見直しが必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
末端修飾のための化学試薬やガラス器具などの実験器具購入のための消耗品費の購入に使用する。また、繊維化を行うためにはポリマーを大量合成すること必要であり、生合成のための培地等の試薬の購入に使用する。
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Research Products
(11 results)